労働基準監督署の調査対応
調査の種類
労働基準監督署の調査とは、「労働基準監督官」が労働基準法等の違反の有無を調査する目的で行われます。
調査には、出頭要請と立入調査と2種類あります。
さらに調査の種類として以下の2種類があります。
定期調査
定期調査は、年度や地区ごとに調査テーマを決めて、調査対象会社のリストをランダムに作成し、これに基づいて行われるものです。
申告調査
申告調査は、従業員(退職後を含む)が労働基準監督署へ出向き、労働基準法違反の申告や告発をすることによって行われるものです。
例としましては、残業代の未払などが多いです。
※定期調査より、申告調査の方がより面倒となってしまいます。
出頭要請時に求められる必要書類は、下記の通りです。
この必要書類の中で適正であるか確認し、不備がある場合は、「是正勧告」となります。
- 雇入通知書
- 就業規則
- 時間外、休日労働に関する協定書
- 労働者名簿
- 賃金台帳(直近3か月分)
- 出勤簿、タイムカードなど労働時間を確認できるもの(直近3か月間)
- 健康診断結果個人票
是正勧告の種類
是正勧告の指摘事項は、以下の内容です。
指摘事項
労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間等の法定事項を書面により明示していないこと。
常時10人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署庁に届け出ていないこと。
また、変更をしているにも係らず未改定及び届け出ていないこと。
賃金台帳の未作成、賃金台帳の総労働時間及び時間外労働時間数の未記入、労働者名簿の未作成。
- 時間外労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届出をしていないにもかかわらず法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて労働させていること。
- 時間外労働に関する協定を超えて労働させていること。
- 休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ていないにもかかわらず、法定休日に労働をさせていること。
- 書面による協定を締結していないにもかかわらず、賃金控除をしていること。
- 時間外労働に対し2割5分、休日労働に対して3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払っていないこと。
- 固定的な賃金を割増賃金の基礎に含めていないこと。
常時使用する労働者に対し、1年以内に1回、定期に法定の項目について医師による健康診断を行っていないこと。
是正報告
是正勧告の後は、必ず「是正報告」が必要となります。
当事務所が、調査から是正報告まで一貫してサポートいたします。
年金事務所の調査対応
「年金事務所」の調査は、「全社員社会保険未加入」、「パート社員のみ未加入」の場合と「指摘事項」があります。
パート社員の場合は、通常の労働者(正社員)の労働時間の概ね、4分の3以上の方が、社会保険加入の対象となります。
私の経験では、通常の労働者(正社員)の月の所定労働時間が173時間の場合、132時間以上のパート労働者が遡って社会保険加入対象者となった調査時の事例があります。
年金事務所の調査の場合も、「就業規則」、「雇用契約書」、「タイムカードなどの出勤簿」、「過去1年間の賃金台帳」などの提出を調査時に求められます。