アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

法改正情報

2023.05.14

令和5年度のキャリアアップ助成金 (正社員化コース)の概要

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、本年のキャリアアップ助成金の正社員化への概要をご案内させていただきます。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善の取組みを実施した事業主に対して助成するものです。そのうちの正社員化コースは、非正規雇用労働者を正社員化することによって受給できる助成金です。この助成金の受給には、キャリアアップ計画の作成や正社員に転換する制度の就業規則への規定、正社員化後6か月間の賃金が正社員化前6か月間の賃金と比較して3%以上増額していることが必要です。

 

支給額は?

 キャリアアップ助成金の令和5年度の支給額は以下のとおりです(カッコ内は大企業の額)。なお、生産性要件は廃止となりました。

 有期→正規:57万円(42.75万円)

 無期→正規:28.5万円(21.375万円)

1年度1事業所あたり20人まで受給ができます。また、以下の場合に支給額が加算されます。

・派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合

28.5万円(大企業も同額)

母子家庭の母等または父子家庭の父を正規雇用労働者として直接雇用した場

 有期→正規:9.5万円(大企業も同額)

 無期→正規:4.75万円(大企業も同額)

勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等をした場合

→1事業所当たり1回のみ9.5万円(7.125万円)

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

※詳細は、管轄のハロワークへお問い合わせください。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2023.03.12

3月からの協会けんぽの保険料率と4月からの雇用保険料率の変更について

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、3月、4月と保険料率が変更になります協会けんぽの保険料率と雇用保険の保険料率についてご案内させていただきます。

令和5年3月分からの健康保険料

令和5年3月分(任意継続被保険者にあっては同年4月分)の都道府県単位ごとの保険料率が全国健康保険協会のホームページに公表されました。令和4年度から引上げとなった都道府県は13、引下げとなった都道府県は33、現状維持は1県です。東京都は10.00%になります(令和4年度9.81%)。

なお、40歳から64歳までの方に加算される介護保険料率は、1.64%から1.82%に変更になります。

雇用保険料率(令和5年4月1日~令和6年3月31日まで)

一般の事業の雇用保険料率

労働者負担と事業主負担あわせて15.51,000となります(令和5年3月までは13.51,000)。失業等給付・育児休業給付の保険料率が労働者負担・事業主負担ともに5/1,000から6/1,000に変更になったことで上がりました。事業主のみ負担となる雇用保険二事業の保険料率についての変更はなく、3.51,000です。

○農林水産・清酒製造の事業、建設の事業

農林水産・清酒製造の事業の雇用保険料率は労働者負担と事業主負担あわせて17.51,000となります(令和5年3月までは15.51,000)。

建設の事業は労働者負担と事業主負担あわせて18.51,000となります(令和5年3月までは16.51,000)。

失業等給付等の保険料率が、一般の事業と同じく、労働者負担・事業主負担ともに上がりました(6/1,000から71,000に変更)。雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)に変更はありません(農林水産3.5/1,000、建設4.51,000)。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2023.02.12

「月60時間を超える時間外労働」についての50%以上の割増賃金率の「対応」

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

1月15日の当事務所に月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、現在のの25%以上から50%以上に引き上げられることについてご案内させていただきました。
本日は、実務上、どのような対応の必要があるかご案内させていただきます。
大きく下記の3点が必要になります。

法改正の影響の把握と月60時間を超える時間外労働抑制の労務上の管理

これまでの、従業員の労働時間の状況を確認し、2023年4月以降に割増賃金率の引上げによりどれくらいの人件費が増加するかという試算を行う必要があります。その結果として、削減できる業務を洗い出し、人員配置や業務の流れの見直しが考えられます。
さらに、各職場の管理者に今回の改正内容や過重労働に対する従業員の心身への影響を説明し、法制度の理解や協力を得られるような教育をすることが必要です。
もちろん、これまで60時間以上の時間外労働をさせたことのない会社は、シュミレーションについては不要です。

就業規則の改定

割増賃金率は、賃金の決定、計算方法等に該当しますので、就業規則への記載が望ましいです。つきましては、法改正に基づき、割増賃金率を変更す旨の但し書きをついするなどの就業規則の改定が必要でしょう。

勤怠管理・給与計算システム等の更新

当事務所のクライアント様から質問を受けますが、本法改正に備え、1ヶ月60時間を超える時間外労働の時間数を集計や割増賃金の計算が対応できるように、勤怠システム、勤怠管理・給与計算システムの設定を変更することが必要です。運用開始時には、的確な集計や計算ができているが重要ですので、導入しているシステム会社に設定方法の確認、バージョンアップの時期などの確認を行い、早めのスケジュールを立てることをお勧めします。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2023.01.15

「月60時間を超える時間外労働」についての50%以上の割増賃金率の改正について

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

「法定労働時間を超えた労働時間(1日8時間・週40時間)」について、通常の賃金に加えて割増賃金を支払うことが義務付けられているのは、皆様もご周知と存じます。現在、中小企業に対しての時間外労働の割増賃金率は、25%以上となっています。
しかし、本年4月より、中小企業においても、月60時間を超える時間外労働に対しては、割増賃金率を50%以上で計算して従業員の方に支払うこととが義務化されますす。
本日は、この法改正に向けての要点をご案内させていただきます。

【要点】

A 1か月60時間を超える時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
ちなみに、1か月の起算日は、 賃金計算期間の初日、毎月1日、36協定の期間の初日などにすることが考えられます。
B 1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率及び1か月の起算日については、労働基準法に定める「賃金の決定、計算及び支払の方法」に関するものなので、就業規則に規定する必要があります。
C 1か月の起算日からの時間外労働時間数を累計していって60時間を超えた時点から、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
D 1か月60時間の時間外労働の算定には、法定休日(休日勤務割増の対象となる)に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日(法定外の休日、所定休日)に行った時間外労働は含まれます。なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことがベストです。
C 60%割増の残業代のみではなく、1か月について60時間を超えて時間外労働を行わせた従業員について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることも可能です。
上記の代替休暇はまとまった単位で与えることによって労働者の休息の機会を確保する観点から1日、半日、1日または半日のいずれかによって与えることとされ、時間単位とすることは不可とされます。
この代替休暇を取得した場合、その取得した代替休暇に対して支払われた賃金額に対応した時間外労働時間数に係る引上げ分の割増賃金の支払が不要となります
また代替休暇は、特に長い時間外労働を行った労働者の休息の機会の確保が目的ですので、一定の近接した期間内に与えられる必要があります。
つまり、時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月間以内の期間で与えることを定める必要があります。
これを導入するためには、労使協定で、取得する代替休暇の時間数を算出するために、まず、「(1ヵ月の時間外労働の時間数-60時間)×換算率」を規定します。
「換算率」とは、「代替休暇を取らなかった場合に支払う割増賃金率(50%以上)」から、「代替休暇を取った場合に支払う割増賃金率(25%以上)」を差し引いた数字になります。
たとえば、「代替休暇を取らなかった場合に支払う割増賃金率」を50%、「代替休暇を取った場合に支払う割増賃金率」
を25%と設定しましょう。ある月の時間外労働の時間が70時間だった場合、代替休暇の時間数は、(70-60)×(1.5-1.25)=「2時間30分」となりますので、「2時間30分の代替休暇」が発生する事になります。
ただし、前述したように代替休暇の単位については、1日、半日、1日または半日のいずれかで運用することとなっています。
また、半日の考え方については、1日の所定労働時間の半分(所定労働時間が8時間であれば4時間)としても、午前休や午後休などを半日としても大丈夫です。
いずれにせよ、半日の定義についても労使協定で明確化することが大切です。
仮に、代替休暇の時間が「1時間」や「2時間」といった中途半端な数字と場合は、労使協定で他の有給休暇と合わせて利用できるよう定めることもできます。
例えば、「代替休暇と時間単位の年次有給休暇を併合し半日の休暇にする」といった運用も可能です。
最後に特に重要なことは、「代替休暇を取得するかどうか否か?」は従業員が決めることになっているため、会社側から強制することはできません。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2022.12.25

賃金のデジタル払いを可能にする件が公表されました

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

本日は、賃金のデジタル払いについてのご案内です。
これまで、給与は現金の手渡しが、労働者の同意があれば、労働者の指定の口座に振り込むことできるとの規定がありましたが、厚生労働省は令和4年1128日、賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする省令を公布しました。

給与の振込先が拡大されるのは
25年ぶりで、企業は、労使協定を締結したうえで労働者から同意を得れば、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払い(賃金のデジタル払い)ができるようになります。厚生労働省は同日、関係通達も発出し、労働者への説明事項などを記載した同意書の様式例も提示しました。施行は令和5年4月1日で、同日から資金移動業者の指定申請を受け付けます。

 

指定資金移動業者の破綻時には保証機関により労働者に口座残高の弁済が行われます。

改正省令では資金移動業者の指定要件について厳しく定められており、賃金デジタル支払いはこれらの要件に係る措置が講じられた資金移動業者の口座に限り認められることとなっています。口座残高の上限を100万円とし、口座残高が100万円を超えた場合、その日のうちに100万円以下にする仕組みが必要です。また、指定資金移動業者の破綻時には、指定資金移動業者と保証委託契約等を結んだ保証機関により、労働者と保証機関との保証契約等に基づき、労働者に口座残高の弁済が行われることとなっているため、破綻したときの全額返済に向け、保証機関と契約しておく必要もあります。

 

労働者の同意を得る際の留意事項

企業が賃金のデジタル払いを実施するには、労働者の同意が必要です。同意を得る際は、資金移動を希望する賃金の範囲・金額や支払い開始希望時期、賃金移動業者の破綻時に弁済を受けるための代替銀行口座などを確認する必要があります。その際に用いられる様式例が通達の別紙で提示しています。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログをよんでいただきありがとうございました。

2022.11.27

社会保険勤務期間要件取り扱い変更のご案内

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士郡山博之です。

本日は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の勤務期間要件の取り扱い変更についてご案内させていただきます。

雇用期間が2か月以内の場合における取り扱いが変更になります。

これまで、2か月以内の期間を定めて雇用される社会保険は、適用除外でした。
しかし、令和4年10月以降は、当初の雇用期間が2か月以内であっても、下記の1または2に該当される方は、雇用期間の当初から健康保険、厚生年金の被保険者となります。

1. 就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、または、「更新される場合がある旨」が明示されている場合

2. 同一事業所において、同様の雇用契約にに基づき雇用されている方が、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

※ただし、上記1または2に該当する場合であっても、2か月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて、労使双方が書面により合意をしている場合は、被保険者に該当しないことになります。

短時間労働者の勤務期間要件が一般の被保険者と同様になります。

令和4年10月より、短時間労働者の適用要件の1つである「勤務期間1年以上」の要件が撤廃されました。つまり、一般の被保険者と同様になりました。
令和4年9月迄「勤務期間1年以上」の要件を満たさないことのみで社会保険の被保険者となっていない従業員のうち、上記1に該当する場合は、令和4年10月1日から被保険者になりますので、ご注意お願いします。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2022.10.16

改正育児休業法のポイント

東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、10月に改正されました育児休業法のポイントをご案内させていただきます。

今月より育児休業の分割と、産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が始まります。育児休業は今まで原則として分割不可でしたが、今後は2回の分割取得が認められるようになります。
また、産後56日の男性育児休業取得を促す目的で「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が育児休業と別に創設されます。この産後パパ育休と育児休業を合わせて、男性は最大4回の育児休業分割取得が可能となります。
なお、産後パパ育休を取得した場合に、「出生時育児休業給付金」として育休前の給与の約67%の給付が受けられますので、男性育児休業を取得しやすくなります。

休業中に就業する場合の留意点

出生時育児休業給付金について
1 給付金の対象となるのは、出生時育児休業期間中の就業日数が一定の水準※以内である場合です。
※ 出生時育児休業を28日間(最大取得日数)取得する場合は、10日(10日を超える場合は80時間)。これより短い場合は、それに比例した日数または時間数。
例 4日間の出生時育児休業の場合は、5日(5日を超える場合は40時間)
2 また、出生時育児休業期間中に就業して得た賃金額と出生時育児休業給付金の合計が、休業前賃金日額×休業日数の80%を超える場合
は、当該超える額が出生時育児休業給付金から減額されます。

育児休業期間中の社会保険料の免除

下記の一定の要件を満たしていれば、育児休業期間(出生時育児休業を含む)における各月の月給・賞与に係る社会保険料が被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除されます。
1 その月の末日が育児休業期間中である場合
2 1に加えて、同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合、新たに保険料免除の対象となります。
  しかし、賞与に係る保険料については連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り免除することになります。
以上ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2022.09.11

令和4年の最低賃金額の改定について

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

8月2日、厚生労働省が公表した令和4年度地域別最低賃金額改定の目安は、同審議会公益委員の見解として示された3.3%を基準とした結果、30~31円という過去最大の引上げとなりました。
これを踏まえて各都道府県の地方審議会における改正の議論が行われ、8月9日までに、27の都道府県で答申もしくは公示が行われています。
このうち、茨城県、兵庫県、佐賀県、熊本県では、中央最低賃金審議会が答申した額を上回る32円の引上げを決定しています。
また、北海道のように目安が30円のところ、31円の引上げを決定したところもあります。
一方、中央最低賃金審議会では、企業物価指数が9%超の水準で推移する中で多くは十分な価格転嫁ができず厳しい状況であること、特に中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものとなったとの受止めはされています。
そのため、答申において、中小企業向けの支援策に関する政府に対する要望も盛り込まれています。
最低賃金額の改定は令和4年10月以降となります。東京都につきましては31円上昇の予想で結果として現在の1041円から1072円となることが予想されます。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2022.08.14

2022年10月から101人以上の会社で週20時間以上勤務のパートが加入対象となります②

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

以前のブログでご案内させていただきましたが、2022年10月に社会保険の適用拡大として、厚生年金保険の被保険者数が常時100人超である企業について、短時間労働者にかかる社会保険の加入要件が変更となります。

今後、パートタイマーやアルバイト等の短時間労働者から加入にかかる相談の増加が予想されることから、本日は、以前のブログの内容を掘り下げて、「賃金の月額が88,000円以上であること」について短時間労働者の社会保険加入における賃金の根拠をご案内します。

社会保険における報酬の範囲

会社が従業員に支払う賃金について、どのような賃金体系にするかは企業の裁量となります。そこで多くの会社では、基本給と各種手当を設けて支払っている場合が通例です。
社会保険の標準報酬月額を決定する際、対象となる賃金は、従業員に支払われる賃金のうち、基本給のほか、通常、役職手当、家族手当、住宅手当、別居手当、勤務地手当、通勤手当、割増賃金等の現金で支払われるものが対象です。
例外的に、現物で支給(借上げ社宅等は面積により現物給付額が定められています。)されるものも含まれるとされています。さらに、年4回以上支給される賞与についても報酬に含まれるます。賞与は年3回までと規定されているためです。

短時間労働者の加入要件における賃金

短時間労働者の加入要件に「賃金の月額が88,000円以上であること」がありますが、この賃金とは、週給、日給、時間給を月額に換算したものに、諸手当等を含めた所定内賃金で判断します。
つまり、下記例の所定外賃金については賃金を除くことになっています。
[除外対象例]
〇臨時に支払われる賃金および1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
〇時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(残業手当、休日出勤手当、深夜手当)
〇最低賃金法で算入しない賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
ここでの大きなポイントは、短時間労働者で支給されている通勤費や残業手当、深夜手当、休日出勤手当は、除外して88,000円以上であるか否かです。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2022.03.20

在職老齢年金基準見直しのご案内

東京都渋谷区の社会保険労務士事務所
アリスト社労士行政書士事務所 代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本年4月より、在職による老齢厚生年金の支給停止の見直しが行われます。
在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金を受けている方が、企業に勤め、厚生年金に加入している場合、年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が一定の金額を超えた場合に、年金の全部または、一部が停止される制度です。

本年4月より、60歳から64歳の在職老年年金については、年金支給停止の見直しが行われます。
具体的には、これまでの65歳以上の在職老齢年金と同じ基準となり、28万円から47万円に変更されます。
例:年金の基本月額が10万円で総報酬月額相当額が36万円とし、合計額が36万円の場合
【現在の基準】合計額が28万円を超えているため年金の一部が停止されます。
【今後】合計額が47万円を超えていないため、年金が全額支給されます。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2022.03.13

4月より年金手帳が廃止となります。

 東京都渋谷区の社会保険労務士事務所
アリスト社労士行政書士事務所 代表の社会保険労務士・行政書士郡山博之です。

この4月より、長年親しまれてきました年金手帳が廃止となります。
今後、以下の方には、これまでの年金手帳に代わり【基礎年金番号通知書】が交付されることになります。
〇新たに年金に加入される方
〇年金手帳の紛失等により基礎年金番号が確認できる書類を発行される方

これまで、企業の人事担当者の方は、入社時に年金手帳を預かるまたは、年金手帳のコピーの提出を求められていたケースが多いと思います。
今後は、従業員の入社時に年金手帳または、基礎年金番号通知書のコピーを提出してもらう流れとなります。


特に、大手企業では、全在籍従業員の年金手帳を預かっているケースがあり、年金手帳廃止に伴い、一旦、従業員から預かり保管している年金手帳を従業員本人に返却しても良いのでは?と思います。

また、入社時は、マイナンバーのみで、厚生年金・健康保険の加入ができます。また、日本年金機構からのお知らせもマイナンバーで届出されれば、基礎年金番号は不要記載されていますが、当事務所しましては、クライアント様に、「これまで通り、基礎年金番号とマイナンバーを揃えてください」とお願いしています。

※4月以降20歳を迎える方につきましては、【基礎年金番号通知書】がお手元に発行郵送されますので、大切に保管される必要があります。
マイナンバー通知カードと似ていると聞いています。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございます。

2022.02.27

令和4年度の健康保険料保険料料率のご案内

 東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

令和4年度の、協会けんぽの健康保険料率が改定されましたので、ご案内させていただきます。

当事務所の関与させていただいているお客様の保険料率は次の通りとなります。

埼玉県  9.91%/前年度9.91% 

東京都  9.81%/前年度9.84%

神奈川県 9.85%/前年度9.99%

千葉県  9.76%/前年度9.79%

いづれも、前年より料率が低減されました。

介護保険料率は、1.64%となります。

変更後の健康保険料率と介護保険料率の適用は、一般の被保険者は3月分(4月納付分)となります。

給与計算時は、ご注意ください。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

 

2022.01.23

育児介護休業法改正のご案内(2022年)

東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、令和4年度の育児休業介護法の改正についてご案内します。

以下のように改正・創設されます。
令和4年4月 育児休業の環境整備・個別周知・意向確認義務化・有期労働者の要件緩和
令和4年10月 出生時育児休業制度の創設

では、個別具体的にご案内します。

☆令和4年4月改定

〇育児休業を取得しやす雇用間環境の整備について

育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は、以下のいづれかの措置を講じなければなりません。
1 育児休業・産後パパ休業に関する研修の実施
2 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
3 自社の労働者の育児休業・産後パパ育児休業取得事例の収集・提供
4 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
【具体的な流れ】
(1)~(2)とおりです。  具体的な手続きの流れは以下①~④とおりです。
(1)労働者が就業してもよい場合 は、事業 は、事業主にその条件を 主にその条件を 主にその条件を 申し出
(2)事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を 主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
(3)労働者が同意
(4)事業主が通知

〇妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

【周知事項】
1 育児休業・産後パパ育休に関する制度
2 育児休業・産後パパ育休の申し出先
3 育児休業給付に関すること
4 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
【周知・意向確認の方法】
面談・書面交付・FAX・Eメールのいずれか
※産後パパ育休につきましては、令和4年10月1日から対象です。

〇有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件緩和(就業規則の改定必要)

【現行】
(育児休業の場合)
(1)引き続き雇用された期間が1年以上であること
(2)1歳6か月までの間に契約が終了することが明らかでないこと


【改定後】
1年6か月までの間に契約が終了することが明らかでないこと
※(1)引き続き雇用された期間が1年以上であることが撤廃
※※ 無期雇用労働契約者と同様に取り扱います。ただし、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は、労使協定の締結により除外可能です。

☆令和4年10月改定

産後パパ育休(出生時育児休業)の創設・育児休業の分割

1 対象期間・取得可能日数について
【現行】
原則子が1歳(最長2歳)まで
【改定と創設】
原則子が1歳(最長2歳)まで
ただし、育休とは別に、産後パパ育休として、この出生後8週間以内に4週間迄取得可能

2 申出期間について
【現行】
原則1か月前まで
【改定と創設】
原則1か月前まで
ただし、産後パパ育休は、原則休業の2週間前まで

3 分割取得について
【現行】
原則分割不可
【改定と創設】
分割して2回取得可能(取得の際にそれぞれ事業主へ申出)
ただし、産後育休パパは、分割して2回取得することが可能ですが、初めにまとめて申し出ることが必要です。

4 休業中の就業
【現行】
原則就業不可
【改定と創設】
原則就業不可
ただし、産後育休パパは、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能。
5 1歳以降の延長
【現行】
育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定
【改定後】
育休開始日を柔軟化
6 1歳以降の再取得
【現行】
再取得不可
【改定】
特別な事情がある場合に限り再取得可能です。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。




2021.12.26

運転前後のアルコールチェックが 義務化について

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

今回のブログで2021年度最終回のブログとなります。

当事務所クライアント様からご質問があった法改正情報です。

一定台数以上の自動車を使用する事業所で選任する安全運転管理者には、運転前に、運転者が飲酒により正常な運転をすることができないおそれがあるかどうかを確認することが義務付けられています。しかし、運転後に酒気帯びの有無を確認することやその確認内容を記録することは義務付けられていませんでした。
今年6月に千葉県八街市で発生した交通死亡事故を受け、安全運転管理者の行うべき業務として、運転前後におけるアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等が義務化されました。その内容は、令和4年4月1日施行と令和4年10月1日施行の2通りあります。

令和4年4月1日施行の義務

1 運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
2 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること。
「目視等で確認」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することをいいます。運転者の酒気帯び確認の方法は対面が原則ですが、直行直帰の場合など対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよいとされています。

令和4年10月1日施行の義務

1 運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うこと。
2 アルコール検知器を常時有効に保持すること。
アルコール検知器については、酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば足り、特段の性能上の要件は問わないものとされています。また、アルコール検知器は、アルコールを検知して、原動機が始動できないようにする機能を有するものが含まれます。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2021.10.17

脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しされました。脳・心臓疾患の労災認定基準については、前回の改正から約20年ぶりとなります。た。
 
脳・心臓疾患は、加齢や生活習慣等の日常生活による諸要因等の負荷により、発症することが多いものですが、仕事が主な原因で発症することもあります。

認定改正基準のポイントは以下の通りです。

〇長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化

これまで、長時間の過重業務の評価にあたり、発症前1ヶ月におおむね100時間または発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について、業務と発症との関係が強いと評価することを示していました。
この基準について、これらの時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働があった場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価することを明確にしました。 

〇長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し

(勤務時間の不規則性)
・拘束時間の長い勤務
・休日のない連続勤務
・勤務間インターバルが短い勤務
・不規則な勤務・交代制勤務・深夜勤務
(事業場外における移動を伴う業務)
・出張の多い業務
・その他事業場外における移動を伴う業務
(心理的負荷を伴う業務)
(身体的負荷を伴う業務)
(作業環境)
・温度環境
・騒音

〇短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化

(短期間の加重業務)
・発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合
・発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合 
(異常な出来事)
・業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
・事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
・生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
・著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等を行った場合
・著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合 


〇対象疾病に「重篤な心不全」を追加

新たな対象疾病として重篤な心不全が追加されました。この重篤な心不全には、不整脈によるものも含まれます。 

以上ご参考にしていただければ幸いです。

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2021.09.26

育児・介護休業法が改正について(令和4年4月以降)

東京都渋谷区のアリスト社労士行政所事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

来年の4月から育児・介護休業法が改正されます。
去る6月に成立した改正育児・介護休業法では、出生後8週以内に最長4週間取れる「出生時育児休業」が、男性の育児休業取得率を上げる可能性があるものとして注目されています。同法は今後数年の間に段階的に施行されますが、ここでは直近の令和4年4月1日施行の改正点を紹介します。
育児・休業介護法は頻繁に改正され、ややこしい分野でありますので、ご参考にしていただければ幸いです。

有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和

「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が削除され、有期雇用労働者は育児・介護休業を取得しやすく改正されます。
ただし「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可」という労使協定方式は残りますので入社して1年未満は育休対象から除外したい場合は「労使協定締結」が絶対的に必要となりますので注意が必要です。

妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

事業主は、妊娠・出産の申出をした労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければなりません。

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務付け

事業主は、育児休業申出が円滑に行われるようにするため、その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施、育児休業に関する相談体制の整備、その他厚生労働省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置のいずれかの措置を講じなければなりません。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございました。

2021.08.29

令和3年度の地域別最低賃金のご案内(全都道府県答申)

東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和3年度の地域別最低賃金の改定額を公表しました。

これは、令和3年7月16日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和3年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会で調査・審議した結果を取りまとめたものです。

答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月上旬までの間に順次発効される予定です。

ポイントは、次のとおりです。

〇47都道府県で、28円~30円、32円の引上げ(引上げ額が28円は40都道府県、29円は4県、30円は2県、32円は1県)

〇改定額の全国加重平均額は930円(昨年度902円)

〇全国加重平均額28円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額

〇最高額(1,041円)に対する最低額(820円)の比率は、78.8%(昨年度は78.2%。なお、この比率は7年連続の改善)

当事務所のお客様のいらっしゃる都道府県は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県ですので、以下4都県ご案内します。

東京都・・・1041円(令和2年度1013円)

埼玉県・・・956円 (令和2年度928円)

千葉県・・・953円(令和2年度925円)

神奈川県・・・1040円(令和2年度1012円)

ご注意

最低金が上昇すると時給者だけを対象にして再確認される場合が多いですが、実は、月給者や日給者も同じです。
例:東京都の時給場合

月給者
1041円×8時間(1日の労働時間)×22日(平均所定労働日数)=183,216円

※固定残業手当を支給されている場合、固定残業代は、最低賃金に含まれません!!

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2021.08.15

育児休業中の保険料の免除要件の見直し(令和4年10月1日から施行)

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

前回に続き、今回も法改正情報をご案内させていただきます。

育児休業中の社会保険の保険料免除は、現在、月の末日時点で育児休業をしている場合に、当該月の保険料(賞与保険料含む)が免除される仕組みです。

そのため例えば、月中に2週間の育休を取得したとしても、休業期間に月の末日を含まなければ免除の対象にはなりません。

今回の改正は、短期の育児休業の取得に対応して、育児休業期間に月末を含まない場合でも、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の
保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1カ月を超える育児休業を取得している場合に限り免除の対象とするというものです。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

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2021.08.08

傷病手当金の支給期間の通算化(令和4年1月1日から施行)

東京渋谷区のアリスト社労士行政所事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、法改正情報についてご案内させていただきます。

傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために休業するときで、一定の要件に該当した場合に支給されるもので、支給期間は、支給が開始された日から最長1年6カ月です。

これは、1年6カ月分支給されるということではなく、1年6カ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も含めて1年6カ月に算入されます。支給開始後1年6カ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

今回の改正は、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるように、支給期間の通算化を行うというものです(支給を始めた日から通算して1年6カ月支給)。

がん治療などで入退院を繰り返すなど、長期間にわたり療養のための休暇をとりながら働くケースなどがあることから、改正になりました。

この通算化の法改正は非常に良い制度と考えます。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2021.07.25

最低賃金改正目安が発表されました!

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

令和3年7月14日の各種報道によりますと「厚生労働省の審議会は、今年度の最低賃金について、すべての都道府県で28円引き上げ、全国平均で現在の時給902円から930円とする目安を示しました。引き上げ額は、最低賃金が時給で示されるようになった2002年度以降で最も大きくなっています。
とのことでした。
昨年度は、新型コロナウイルスの影響で雇用を守ることが最優先とされ、審議会は、引き上げの目安を示すことができませんでした。今年度は、ワクチン接種がすすんでいることや、経済指標の一部で回復がみられること、経営が厳しい企業には支援策が検討されていることなどを考慮した、とのことのようです。
今後、都道府県ごとに8月~9月に決められ、10月より適用されていくことになります。
仮に目安のとおりに引き上げられた場合、最も高いのは、東京都の時給1041円で、すべての都道府県で時給800円を超えることになります。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2021.05.09

雇用保険の特例のご案内

 東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

新型コロナウィルスが猛威を振るい、東京は、緊急事態宣言が5月末まで延長になりますね。
このような状況下、飲食店などでは解雇までいかなくとも、アルバイトのシフトが減少するといった問題が多発しています。こうしたシフトの減少により離職した人について、雇用保険(求職者給付)の特例等が設けられましたので、ご案内させていただきます。

A 労働契約に具体的な就労日数等の定めがある場合

 シフト制の労働者で、例えば、下記に該当される場合は、特定理由離職者または特定受給資格者として認められる場合があります。
〇具体的な就労日数が労働条件として明示されている一方で、シフトを減らされた場合
〇契約更新時に従前の労働条件からシフトを減らした労働条件を提示されたため、更新を希望せずに離職した場合
※シフト制労働者の定義は、勤務日数や時間がシフトにより決定される労働者のことを言います。

※特定理由離職者または特定受給資格者とは?

特定受給資格者の範囲

  1. 「倒産」等により離職した者
    (1) 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
    (2) 事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
    (3) 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
    (4) 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

  2. 「解雇」等により離職した者
    (1) 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
    (2) 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
    (3) 賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
    (4) 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
    (5) 離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者(6) 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
    (7) 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
    (8) 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
    (9) 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する場合を除く。)
    (10) 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者
    (11) 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
    (12) 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
    (13) 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

特定理由離職者の範囲

  1. 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(8)又は(9)に該当する場合を除く。)

  2. 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
    (1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
    (2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
    (3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
    (4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
    (5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
    (a) 結婚に伴う住所の変更
    (b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
    (c) 事業所の通勤困難な地への移転
    (d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
    (e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
    (f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
    (g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
    (6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

B A以外でシフトの減少により週の労働時間が20時間を下回ることとなる場合

 2021331日以降に、以下の理由により離職した人は、特定理由離職者として、雇用保険求職者給付の給付制限を受けないことになりました。
シフト制労働者のうち、新型コロナの影響により、シフトが減少し(労働者が希望して減少した場合は除く)、概ね1ヶ月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより離職した場合

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

 

2021.04.18

諸手当制度共通化コースから分かることと

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

キャリアアップ助成金の中に、「諸手当制度等共通化コース」があります。
本年4月からの「同一賃金・同一労働」が施行され、有期契約労働者等に関して正社員と共通の諸手当に関する制度が新たに設けられました。
例えば家族手当を新たに設け適用した場合、1事業所あたり1回38万円(大企業の場合28万5,000円)が支給されます。対象となる有期契約者等1人当たり1万5,000円(大企業の場合1万2,000円)が加算されます。
2021年度は、対象となる手当等の範囲が下表のように変更となりました。まさに、「同一労働・同一賃金」の施行や昨年本年の判例の影響かと存じます。

【2020年度】

1.賞与
2.役職手当
3.特殊作業手当・特殊勤務手当
4.精皆勤手当
5.食事手当
6.単身赴任手当
7.地域手当
8.家族手当
9.住宅手当
10.時間外手当
11. 深夜・休日出勤手当

【2021年度】

1.賞与
2.家族手当
3.住宅手当
4.退職金
5.健康診断制度

その他

「正社員化」の要件が変更となりました。正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金を比較して3%以上増額していることです。基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含まれません。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

詳しくは、管轄のハローワークへお問い合わせいただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2021.03.21

令和3年度の雇用保険料率のご案内

東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

令和3年度の雇用保険料率についてご案内させていただきます。
個人的には、新型コロナウィルスの影響で引き下げられるのかな?と思っていましたが、令和2年度と変更なく据え置きです。

雇用保険とは?

雇用保険と言いますと、皆様は、当然、失業等給付(失業保険)の財源に利用されているとご理解されていると思いますが、他の財源にも利用されています。具体的には、失業等給付・育児休業給付・雇用2事業です。

1.失業等給付は、失業時の生活保障を行う基本手当などの支給

2.育児休業給付は、育児休業期間中の生活保障として給付

3.雇用二事業は、雇用調整助成金や従業員の能力開発支援などの助成

雇用保険料率について

〇一般の事業→1000分の9(事業主負担1000分の6、被保険者負担1000分の3)

〇農林水産業・清酒製造業→1000分の11(事業主負担1000分の7、被保険者負担1000分の4)

〇建設の事業→1000分の12(事業主負担1000分の8、被保険者負担1000分の4)

※失業等給付等の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに引き続き3/1,000です。
(農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業は4/1,000です)
※雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)も、引き続き3/1,000です。
(建設の事業は4/1,000です。)

雇用保険料率表

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2021.03.14

現物給与の価額が4月1日に改訂されます。

 東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本年4月1日より、現物給与の価額が変更となりますので、ご注意ください。


現物給与とは?

厚生年金保険・健康保険の被保険者が、勤務する事業所より労働の対償として現物で支給されるものがある場合は、その現物を通貨に換算し報酬に合算のうえ、保険料額算定の基礎となる標準報酬月額を求めることになります。
難しい表現ですが、単純にお金以外の物で支給されているケースです。例えば、会社から夕食が提供されている場合や、社宅を提供されていることを指します。
食事や住宅の場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨に換算する必要があります。食事や住宅以外のものとして、自社製品等が含まれ、原則として時価に換算します。

なお、本社管理(本社と支店等が合わせて1つの適用事業所になっていること)の適用事業所における支店等に勤務する被保険者の現物給与は、平成25年4月1日以降、支店等が所在する都道府県の価額を適用することになっています。

厚生年金・健康保険の標準報酬の見直しとなるケースもありますので、再チェックが必要です。

給与計算の実務としては、支給と控除に現物給付額を記載することにより、毎年1度の見直しの失念防止となります。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

令和3年度現物給付一覧表

2020.11.15

障害者の法定雇用率が引き上げになります。

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

今週は、法改正情報をご案内します。

令和3年3月1日より、障害者法定雇用率が引き上げになります。

民間企業では、令和3年3月1日から0.1%引き上げとなり、2.3%となります。
今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が従業員43.5人以上に広がるので、従業員数が43.5人以上45.5人未満の事業主の皆様は特にご注意ください。

そもそも障害者雇用率制度とは?

一定数以上の労働者を雇用している企業や地方公共団体を対象に、常用労働者のうち障害者をどのくらいの割合で雇う必要があるかを定めた基準のことです。障害者の職業の安定を図った「障害者雇用促進法」により、企業には法定雇用率の達成が義務付けられています。

企業が雇用すべき障害のある人の人数の計算方法は?

自社の法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数)=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率(2.3%) 
常用労働者とは、1週間の労働時間が30時間以上の方、短時間労働者とは、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の方を言います。つまり、1週間の労働時間が短いアルバイトやパートの方などはカウントしません。

(計算例)
1日8時間労働の正社員が50人、1週間に20時間から30時間勤務のアリバイと・パート従業員が50人いる企業の場合
計算方法:50人+(50人×0.5)×2.3%=1.72 
この場合は1名となります。(小数点以下の端数は切り捨て)

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいいただきありがとうございます。

2020.11.08

子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得可能になります。

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

2021年1月1日より、育児や介護を従業員が子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することが出来るよう、育児・介護休業法施行規則等が改正され、
時間単位で取得できるようになります。

改正の大きなポイントは、以下の通りです。
(改正前)
〇半日単位での取得が可能
〇1日の所定労働時間が4時間以下の従業員は取得できない

(改正後)

〇時間単位での取得が可能
〇全ての従業員が取得できる

法改正されますが、看護休暇の時間や給与の定め方は、企業によって様々です。有給にしなければならないわけではありません。法律で規定されていないからです。無給の場合は、有給休暇を優先的に取得しているケースが多いです。
有給か無給かは、就業規則にしっかりと規定されないと、労使トラブルになりかねませんので、今回の法改正にて就業規則の見直しをされる場合は、再度、自社の就業規則が実態とあっているのか見直すことも必要です。無給の場合は、人事評価制度等の欠勤や遅刻早退には該当しません。給与計算等でやむを得ず、欠勤や遅刻早退で計算する場合は、給与明細書の備考欄に看護休暇日数や看護時間を記載するなどして、取得従業員の気分を害さないことが大切です。

また、⼦の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することが困難な業務がある場合は、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。困難な業務の範囲は、労使で⼗分に話し合い取り決める必要があります。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.09.27

今月より複数事業労働者向けの労災保険給付が開始しました。

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

これまでは、複数の会社で働いている労働者の方について、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題でした。

このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法が改正されました。

今回の改正制度の対象となるのは「複数事業労働者」の方です。「複数事業労働者」とは、被災した(業務や通勤が原因でけがや病気などになったり死亡した)時点で、事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者の方のことをいいます。被災した時点で複数の会社について労働契約関係にない場合であっても、その原因や要因となる事由が発生した時点で、複数の会社と労働契約関係であった場合には「複数事業労働者に類する者」として、改正制度の対象となります。また、労災保険に特別加入している方も対象になります。


【改正内容】

1. 複数事業労働者の方への保険給付が、すべての働いている会社の賃金額を基礎に支払われるようになります(これまでは災害発生事業場での賃金額しか保険給付の基礎とされていませんでした)。

2. 新しく複数の事業の業務を要因とする傷病等(負傷、疾病、障害または死亡)についても、労災保険給付の対象となります。新しく支給事由となるこの災害を「複数業務要因災害」といいます。なお、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。複数事業労働者の方については、1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価して業務災害に当たらない場合に、複数の事業場等の業務の負荷を総合的に評価して労災認定できるか判断します。これにより労災認定されるときには、上記の「複数業務要因災害」を支給事由とする各種保険給付が支給されます。1つの事業場のみの業務上の負荷を評価するだけで労災認定の判断ができる場合は、これまでどおり「業務災害」として、業務災害に係る各種保険給付が支給されます。なお、この場合であっても、すべての就業先の事業場の賃金額を合算した額を基礎に保険給付されます。

3. 労災保険には、各事業場の業務災害の多寡に応じ、労災保険率または保険料を増減させる、メリット制があります。新設の複数業務要因災害については、メリット
 制には影響しません。一方、複数事業労働者の業務災害については、業務災害が発生した事業場の賃金に相当する保険給付額のみがメリット制に影響します。
方、複数事業労働者の業務災害については、業務災害が発生した事業場の賃金に相当する保険給付額のみがメリット制に影響します。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまでブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.09.20

2020年10月より雇用保険基本手当の給付制限期間が変更されます。

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、雇用保険に関する法改正情報のご案内です。

従業員が、会社を退職すると雇用保険の被保険者資格は喪失となり、会社がハローワークで手続きを行うことにより、退職した従業員は離職票の交付を受けることになります。
その離職票を、退職した事業印がハローワークへ出向き、手続きをすることで、基本手当が受給できますが、自己都合での退職の場合には、これまで原則として3ヶ月間の給付制限期間が設けられていました。

今後は、2020年10月1日以降の自己都合での退職の場合、給付制限期間が2か月間に短縮されます。ただし、短縮される退職は5年間のうち2回までであり、3回目の退職以降の給付制限期間は3ヶ月間となります。なお、懲戒解雇による退職の給付制限期間は、これまでどおり3ヶ月間のままです。

ただし、正当な理由のある自己都合退職につきましては余談ですが、給付制限期間は設けられていません。この正当な理由のある自己都合退職の例として、結婚に伴う住所の変更、会社が通勤困難な場所へ移転したこと等です。

ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.08.30

令和2年の最低賃金の動向②

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

前回ご案内させていただきました、最低賃金の動向をご案内させていただきます。

新型コロナウイルスの影響により、引き上げは困難と予想されていた地域別最低賃金ですが、地方最低賃金審議会において、地域の経済・雇用の実態を見極め、地域間格差の縮小を求める意見も勘案しつつ、適切な審議が行い都道府県単位で決定していく形となりました。
 
そのため予定では2020年度も1~3円の増額改定とする都道府県がほとんどの模様となっています。
据え置きを決めたのは、東京(1,013円)、静岡(885円)、京都(909円)等、ごく一部にとどまるようです。(2020年8月7日時点)
 
東京都は既に最低賃金の据え置きを公表していますが、隣の神奈川県では1,011円から「1円」引き上げの、「1,012円」への増額改定を決めました。
正式には今後、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございます。

2020.08.23

雇用保険の基本手当日額等の変更のご案内

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

8月1日より、雇用保険の「基本手当日額」が変更されました。
「基本手当日額」は、離職前の賃金をもとに算出した1日当たりの支給額をいいます。
毎年、8月1日に見直しが行われますが、今回の変更は、平成30年度の平均給与額が平成29年度と比べて約0.89%上昇したことに伴うものとのことです。
平均給与額ですが、「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額が用いられています。

具体的な変更内容は以下のとおりです。

1.基本手当の日額の算定基礎となる賃金日額の範囲等の引上げ
(1)最高額

受給資格に係る離職の日における年齢 現行 変更後 
60歳以上65歳未満 7,087円 7,150円
45歳以上60歳未満 8,260円 8,335円
30歳以上45歳未満 7,505円 7,570円
30歳未満 6,755円 6,815円

(2)最低額

現行 変更後 
1,984円 2,000円

2.失業期間中に自己の労働による収入がある場合の基本手当の減額の算定に係る控除額の引上げ

現行 変更後 
1,295円 1,306円

3.高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額の引上げ

現行 変更後 
360,169円 363,359円

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.08.16

令和2年度の最低賃金の動向

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、 その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。 最低賃金の種類は、
〇地域別最低賃金
〇特定最低賃金
の2種類があります。この最低賃金は、毎年10月に改正されます。

東京労働局長は本年の最低賃金(地域別最低賃金)の改正について、7月10日に東京地方最低賃金審議会に対し諮問を行いました。
 同審議会は審議の結果、中央最低賃金審議会の公益見解等【和2年度地域別最低賃金額については、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用への影響等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当と示しています。】を総合的に検討した結果、東京都の最低賃金時間額については現行どおり(1,013円)とすることが適当である旨を8月5日に答申しました。
東京労働局はこの答申を踏まえ、東京都の最低賃金の改正に係る手続を進めるとしており、令和2年度は現行どおり(1,013円)となる見込みです
東京都については上記のとおりとなりますが、毎年8月中旬から下旬に、全国の答申状況が厚生労働省より公表されています。その他の道府県の答申結果もまもなく公表されます。
ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.03.08

民法改正による雇用の際の身元保証書(契約)の影響

アリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

2020年は民法大改正の年です。私は、行政書士、社会保険労務士双方の業務を行っているため、注目しています。

本日は、社会保険労務士として、顧問のお客様から問い合わせの多い、身元保証契約についてご案内します。

〇身元保証契約


大多数の会社が、従業員を採用した場合、労働条件通知書の発行、雇用契約書の締結は当たり前ですが、あわせて、身元保証契約書を交わします。
これまで、漠然としていた身元保証契約書。

ようは、万が一、雇用する従業員が会社に対して損害を与えた場合、その損害を補填するため、従業員の父母、祖母、兄弟、友人が身元保証人として、会社と契約を行う行為です。

私も、会社勤めの頃は、父親にお願いしていました。その身元保証契約ですが、内容を確認しますと、具体的な賠償額の明示がないですよね?
皆さんはいかがですか?

法改正によって、本年4月より、具体的にその賠償額の明示義務が必要となります。
その賠償額の基準ですが、自由となります。
しかし、1億円や1,000万円だと、身元保証人の方が署名押印するでしょうか?
疑問です。

身元保証契約については、今後、以下の判断が求められます。
1. 賠償額を具体的に明示(法改正後はこの手段でないと万が一訴訟の場合は会社は、抗弁できません)

2. あくまでも形式上(無効)

3. 撤廃

となります。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

ご不明な点は、お気軽にお問合せください。

2019.03.27

平成31年4月からの労働法関連改正のご案内

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

2019年も来週からは4月になります。
早いものです。

4月は、労働分野や社会保険関連の法改正が盛りだくさんです。
本日は、その法改正についてご案内させていただきます。

年次有給休暇の年5日の時季指定付与義務

使用者は、年次有給休暇を10日以上付与する労働者に対して、年5日の年次有給休暇を取得させる制度です。
取得日数が5日に満たない労働者に対しては、使用者がその労働者の意見を聴取し、可能な限り労働者の希望に沿った時季を指定して取得させなければならなくなります。

時間外労働の上限規制の適用

使用者は、労働者の過半数代表者と36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出た場合、協定に定めにより、労働時間を延長し、休日労働をさせることができますが、その延長時間に罰則付きの上限が設けられます。
一般条項:月45時間以内、年360時間以内
特別条項:年6回まで月45時間を超えて労働させることができますが、最大で年720時間迄
共通:休日労働を含めて単月100時間未満、複数月平均80時間以内
※中小企業は、2020年4月まで猶予され、建設業等は2024年4月まで猶予されます。

フレックスタイム制の精算期間の上限が3カ月に延長

フレックスタイム制の精算期間がこれまでの上限1カ月から3か月に延長されます。精算期間が1カ月を超える場合は、労働基準監督署へ労使協定の届け出が必要です。

高度プロフェッショナルの導入

業務の性質上、従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くないと認められる高度専門職に就き、かつ、高収入の労働者を対象に、36協定の規程が除外される高度プロフェッショナル制度が創設されます。

労働時間の状況の把握義務

事業者は、長時間労働者に対して医師による面接指導を実施するため、すべての労働者の労働時間の状況を客観的な方法で把握しなければなりません。

医師による面接指導の拡大

医師による面接指導の要件がこれまでの月に100時間を超えた者から月に80時間を超えたものに見直されます。

産業医の活動環境の整備等

産業医を選任した事業者は、産業医の業務等を労働者に周知しなければなりません。また、事業者は、産業医が労働者の健康管理を行うために必要な情報を産業医に提供しなければなりません。

などです。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.11.04

「年次有給休暇の年5日取得」義務化の運用について

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、当事務所のクライアント様からの質問も多くなってきました「年次有給休暇の年5日取得」義務化の実際の運用について、ご案内します。

概要ですが、使用者は、年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者に係る年次有給休暇の日数のうち、5日については、基準日(継続勤務した期間を同条第2項に規定する6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいいます。)から1年以内の期間に、労働者ごと(個別管理が必要)にその時季を定め与えなければなりません。つまり、使用者は、時季変更権を持っていますが、今回の法改正は、時季指定で5日間は、有給を与えなさいということです。
この場合の使用者による時季指定の方法としては、例えば、年度当初に労働者の意見を聴いた上で年次有給休暇取得計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与すること等が考えられます。勿論、使用者がしている夏季休暇などの所定休日は、除きます。
ただし、年次有給休暇を与えた場合においては、与えた年次有給休暇の日数(日数が5日を超える場合には、5日とします。)分については、時季を定めて与える必要はありません。つまり、労働者が自ら時季指定して5日以上の年次有給休暇を取得した場合や、計画的付与により5日以上の年次有給休暇を取得した場合には、使用者による時季指定は不要であることなります。
1.法定通り年次有給休暇の場合は、下記の通りとなります。
2.入社時に10日の年次有給休暇を付与した場合は、下記の通りとなります。
ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.10.28

来春から労働条件の通知がEメールで可能になります

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

厚生労働省は、企業が労働者に書面で交付すると定めている労働条件の通知方法を、電子メールなどでも可能にするよう規制を緩和するとのことです。利便性を高めるための措置で、書面として印刷できれば情報管理上、問題ないと判断したようです。労働基準法に基づく省令を改正し、2019年4月から適用されます。

労働基準法第15条で、労働者に対して賃金、労働時間などを明示することを義務付けられており、下記の事項は書面で明示しなければならないとされています。 

労働契約の期間に関する事項
期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
退職に関する事項(解雇の事由を含む。)。 

 また、雇用契約書や労働条件通知書などを作成せず上記、労働条件を明示していない場合の罰則は30万円以下の罰金となっています。

これが来年4月から、労働者の希望があれば、Eメールで通知可能となります。 

ただし、実務上は、雇用契約書または労働契約書により、2部用意の上、会社と労働者が双方記名押印または署名して、取り交わすことが多い多いです。
「労働条件通知書」は、労働者へ一方的に通知することになりますので、私の認識している範囲ですと利用されている会社は少ないです。しかし、内定の連絡をする際に、労働条件通知書もあわせて案内し、その労働条件通知書に基づき内定者が入社の意思表示を行い、その後に雇用契約書や労働契約を交わすようにすれば、便利な法改正となりますね。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。 

2018.08.26

成立した働き方関連法の主なまとめ

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

2018年8月も今週で最後の週になりましたね。来週からは、早いもので9月です。

さて、最近、同業者のFacebookなどで、働き方関連法のことが書かれています。
私も先日、有給休暇の5日の義務取得化について書いてみましたが、本日は、主な関連法案のまとめをご案内させていただきます。

時間外労働上限規制

労働基準法では、原則として1週間40時間、1日8時間という法定労働時間を超える労働を認めて
いません。
ただし、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)を締結すること等により、法定労働時間
を超える労働(時間外労働)をさせることできる仕組みとなっています。この36協定には、時間
外労働が可能となる時間数を定める必要がありますが、これまで告示による定めはあった
ものの、労働基準法においてこの時間外労働の上限時間数は設けられていませんでした。
そして、今回、働き方改革関連法が成立し、告示から法律へ格上げとなる改正がされたことで、
新たに時間外労働の上限が設けられました。その内容は以下のとおりです。

・時間外労働の上限を原則、1ヶ月45時間、1年360時間とする。
・原則の時間を超えるような特別の事情があるときは、時間外労働の時間数を延長することがで
きる特別条項を設けることができるが、特別条項の上限は1年720時間、1ヶ月当たり100時間未
満(休日労働含む)、2~6ヶ月平均80時間以下(休日労働含む)を限度とする。

※大企業:2019年4月1日施行 中小企業:2020年4月1日施行

年次有給休暇の年5日の取得義務

労働基準法では、勤続6ヶ月以上で全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、10労働日の年次
有給休暇を付与することを義務付けています。付与された年次有給休暇は、原則として労働者が
希望する日(時季)に取得できるとしていますが、年次有給休暇の取得率向上等のため、年10
日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、会社は毎年、5日の年次有給休暇を取得
させる義務を負うことになりました。

※大企業・中小企業:2019年4月1日施行

1か月60時間超の時間外労働の割増率引上げ

労働基準法は法定労働時間を超える労働は認められておらず、36協定の締結等の手順に従って
労働させたときには、時間外労働について25%以上、休日労働について35%以上の割増賃金率
で計算した割増賃金を支払う必要があります。この点に関し、2010年4月1日以降、1ヶ月60時
間を超える時間外労働(以下、「月60時間超の時間外労働」という)については、割増賃金率
を50%以上で計算し、支払うこととされていますが
、中小企業についてはその適用が猶予され
てきました。
今回、労働基準法が改正されたことによって、現在、中小企業において適用が猶
予されている月60時間超の時間外労働の割増賃金率が、2023年4月以降、全面的に適用される
こととなりました。1ヶ月60時間を超える時間外労働がある中小企業では、人件費の負担が重
くなるとともに、割増賃金率にあった勤怠集計方法に変更することが求められます。

※大企業:施行済み 中小企業:2023年4月1日施行

高度プロフェッショナル制度の創設

労働基準法では、法定労働時間を超える労働や、休日労働に対し割増賃金の支払いを義務付けて
いますが、一定以上の年収の支払いが見込まれる特定高度専門業務に従事する労働者については、
労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用の対象としない、いわゆる「高度プロフェッシ
ョナル制度」
が創設されます。現状のところ、一定の年収の基準は1,075万円以上となる予定で
あり、制度を利用するときには年間104日以上の休日確保等、健康確保措置の実施が義務となり
ます。

※大企業・中小企業:2019年4月1日施行

フレックスタイム制の見直し

始業時刻および終業時刻を労働者の裁量により決定できるフレックスタイム制は、柔軟で自律的
な働き方として導入が進められてきました。今回、この制度に関しても見直しが行われ、現在、
清算期間の上限が1ヶ月となっているものが、3ヶ月に見直されています。
なお、1ヶ月を超える
清算期間を設けるときには、労働基準監督署へ労使協定の届出が必要になるといった細かな要件
が定められています。

※大企業・中小企業:2019年4月1日施行

雇用形態に係わらない公正な待遇の確保

現在、正規社員(正社員)と非正規社員(パートタイマー、有期契約労働者、派遣労働者)の間
に、不合理な待遇の格差がみられることが多くなっています。この格差を解消するために、個々
の待遇ごとに、待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮することが求められます。
なお、すでにガイドライン案として2017年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」が公開されており、今後、これが正式にガイドラインとなる予定です。

※大企業:2020年4月1日施行 中小企業:2021年4月1日施行

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

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