アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ
2023年02月
2023.02.26
労働条件通知書に明示する事項について
東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
労働基準法では、企業は従業員と労働契約を締結するにあたって労働条件を明示しなければならないと定められています。
明示すべき項目が定められているほか、就業時間や就業場所などの重要項目は、書面での明示が義務づけられています。
これらの条件は、一般に労働条件通知書、労働条件明示書、雇用契約書等により明示されます。
これは正社員だけではなく、契約社員やパートなど、すべての従業員に交付する必要があります。
今回は、従業員の採用時に必要となる労働条件通知書についてご案内します。
労働条件通知書に記載するべき項目
厚生労働省は従業員の権利を守り、労使トラブルを防ぐため、企業が従業員と労働契約を締結する際に、明示すべき労働条件について定めています。
判例によると採用通知や内定通知の発行、応募者からの承諾書や誓約書が提出されていれば、労働契約が成立したとみなされており、採用通知の発行を含めた一連の採用時の手続きのなかで、労働条件通知書を交付するのが一般的です。
既述の通り、労働条件通知書はすべての従業員に対して交付することが義務づけられており、交付していない場合は労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
採用時に明示すべき内容
1.労働契約の期間に関する事項
2.期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
3.就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
4.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
5.賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
※昇給に関する事項は、書面で必ず明示する事項からは、除外されています。
6.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
7.退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
8.臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
9.労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
10.安全及び衛生に関する事項
11.職業訓練に関する事項
12災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
13.表彰及び制裁に関する事項
14.休職に関する事項
なお、上記1から7につきましては、書面での明示が義務付けられ、8から14については、就業規則で定められている場合は、従業員への明示が義務付けられています。
ただし、労働条件通知書の交付の際、通知書に補足する形で、該当する就業規則の条項を記載し、就業規則の説明や交付によって書面明示に代えることもできます。
パートタイムなどの雇用時に明示が必要な労働条件
パートタイム従業員やアルバイトは正社員と待遇が異なる可能性があることから、雇用時に、以下の4つの項目を追加する必要があります。
これらの記載がない場合は法令違反となり、10万円以下の罰金が科される可能性があります。
1.昇給の有無
2.退職手当の有無
3.賞与の有無
4.短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
ここで、注意する点としまして、労働基準法では、明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。と規程されています。
さらに、従業員が就業のために住居を変更しており、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費などを負担する義務があります。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
2023.02.12
「月60時間を超える時間外労働」についての50%以上の割増賃金率の「対応」
東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
1月15日の当事務所に月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、現在のの25%以上から50%以上に引き上げられることについてご案内させていただきました。
本日は、実務上、どのような対応の必要があるかご案内させていただきます。
大きく下記の3点が必要になります。
法改正の影響の把握と月60時間を超える時間外労働抑制の労務上の管理
これまでの、従業員の労働時間の状況を確認し、2023年4月以降に割増賃金率の引上げによりどれくらいの人件費が増加するかという試算を行う必要があります。その結果として、削減できる業務を洗い出し、人員配置や業務の流れの見直しが考えられます。
さらに、各職場の管理者に今回の改正内容や過重労働に対する従業員の心身への影響を説明し、法制度の理解や協力を得られるような教育をすることが必要です。
もちろん、これまで60時間以上の時間外労働をさせたことのない会社は、シュミレーションについては不要です。
もちろん、これまで60時間以上の時間外労働をさせたことのない会社は、シュミレーションについては不要です。
就業規則の改定
割増賃金率は、賃金の決定、計算方法等に該当しますので、就業規則への記載が望ましいです。つきましては、法改正に基づき、割増賃金率を変更す旨の但し書きをついするなどの就業規則の改定が必要でしょう。
勤怠管理・給与計算システム等の更新
当事務所のクライアント様から質問を受けますが、本法改正に備え、1ヶ月60時間を超える時間外労働の時間数を集計や割増賃金の計算が対応できるように、勤怠システム、勤怠管理・給与計算システムの設定を変更することが必要です。運用開始時には、的確な集計や計算ができているが重要ですので、導入しているシステム会社に設定方法の確認、バージョンアップの時期などの確認を行い、早めのスケジュールを立てることをお勧めします。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
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