アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ
2022年04月
2022.04.24
公正な採用選考の考え方とは
東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
労働者派遣業許可申請の取得の際、「公正採用選考人権啓発推進員の専任」の提出を求められます。
本日は、「公正採用選考」についてご案内いたします。
これは、厚生労働省のホームページにも「公正採用のお願い」というサイトがあります。
採用選考の基本的な考え方
1 採用選考に当たっては
(1)応募者の基本的人権を尊重すること
(2)応募者の適性・能力に基づいて行うこと
の2点を基本的な考え方として採用選考をすることが大切です。
2 公正な採用選考を行う基本は
(1)応募者に広く門戸を開くこと
(2)応募者の適性・能力に基づいて行うこと
つまり、公正な採用選考を行うためには、公正な採用選考を行うことと、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。
採用選考時に配慮すること
1 本人に責任のない事項の把握をしないこと。具体的には下記のとおりです。
(1)本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
(2)家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
(3)住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
(4)生活環境・家庭環境などに関すること
2 思想信条にかかわることの把握【本来の自由が憲法で保障されています。】しないこと。具体的には下記のとおりです。
(1)宗教に関すること
(2)支持政党に関すること
(3)人生観、生活信条に関すること
(4)尊敬する人物に関すること
(5)思想に関すること
(6)労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
(7)購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
3 採用選考の方法の注意点
(1)身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
(2)合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
上記が基本ですが、企業には採用の自由が認められており、雇用する人数や募集方法などは、企業の任意となっています。
さらに、公正な採用基準に沿っていれば、応募者が持つどの要素を重視して採用・不採用を決めるのかも自由です。
さらに、公正な採用基準に沿っていれば、応募者が持つどの要素を重視して採用・不採用を決めるのかも自由です。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
2022.04.17
有期労働契約期間と無期転換申し込みについて
東京渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
本日は、クライアント様からの質問事例が多かった、有期労働契約期間と、無期転換申し込みついて、ご案内いたします。
労働基準法では一部の例外を除いて3年を超えて有期労働契約を結んではならないとされています。
なお、1年を超えて3年以内の労働契約を結んだ場合は、働き始めてから1年が経過していれば労働基準法の規定により、当面の間は従業員側から会社に申し出ることにより、いつでも退職できることとなっています。逆に会社側から契約期間内に雇用契約を解除した場合は「会社側からの解雇」となります。
その他例外
例外1
専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る)との間に締結される労働契約の場合は、上限5年
例外2
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の場合は、上限5年
例外3
一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等についてはその期間)
その他の留意点
留意点1
5年以内の契約期間の労働契約は、上記基準に該当する労働者がそのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合であれば、いつでも締結することができます。
留意点2
会社が労働者との間に期間の定めのない労働契約を締結している場合には、その労働者との間の合意なく契約を有期労働契約に変更することはできません。
無期転換申込権とは、一定の要件を満たした有期労働者の権利となります。
労働契約法 18条1項は、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、労働者が使用者に対して当該有期労働契約満了日までに無期労働契約の締結の申込みをすれば、使用者はその労働者の申込みを承諾したものとみなすと規定しています。
つまり、これまでの契約期間が5年を超える有期労働者から使用者に対して、無期労働契約への転換の申出があった場合、無期労働契約が成立するということです。仮に使用者がこれを拒んでも、無期労働契約が成立します。
要件について
要件について
要件1
同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約が存在すること
要件2
通算契約期間が5年を超える有期労働者であること
要件3
有期労働契約期間の満了日までに申込みをすること
今後、労働者からの申し込みという規定がなくなり、会社からの通知も義務となる法改正があるかもしれません。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
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