アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ
2021年10月
2021.10.31
第三者等の行為による傷病届について
東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
業務外の事由による交通事故など第三者(他人)から傷害を受けたときに健康保険を利用して診察・治療を受ける場合、「第三者等の行為による傷病届」の提出が必要となります。
つまり、健康保険を利用して、診察・治療を受けた場合、加害者が法律上当然に支払うべき治療費を健康保険の保険者が立て替えて支払うことになるからです。本人負担が3割ですので、7割分を保険者が加害者に対して代位求償するためです。
代位求償とは?
第三者の過失によって生じた損害に対して、保険者が保険金を支払った後に、補償の対象となる方に代わり第三者に損害賠償を請求することをいいます。
業務中は?
業務中は、政府労災があります。政府労災にも第三者行為災害があります。
第三者行為災害とは、労災保険の給付の原因である事故(災害)が第三者の行為などによって生じたものであって、労災保険の受給権者である被災労働者又は遺族に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものをいいます(交通事故等いわゆる加害者がいる場合)。
第三者行為災害に該当する場合には、被災労働者又は遺族は第三者に対し損害賠償請求権を取得すると同時に、労災保険に対しても給付請求権を取得することとなります。しかし、同一の事由について両者から重複して損害金を受けることとなれば、実際の損害額より多くの支払いを受けることとなり二十利得となってしまいます。
また、被災労働者又は遺族に、支払われる賠償金は、最終的には労災を運営している国ではなく、災害の原因となった加害者が負担すべきものであると考えられます。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
2021.10.24
最低賃金制度のポイント(本社と支店が別の都道府県にある場合)
東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
本年も10月より最低賃金が見直しが行われました。
〇場所的に分散している事業であっても、出張所、支所等著しく小規模であり独立性のないものは、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱います。
2021.10.17
脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。
東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しされました。脳・心臓疾患の労災認定基準については、前回の改正から約20年ぶりとなります。た。
脳・心臓疾患は、加齢や生活習慣等の日常生活による諸要因等の負荷により、発症することが多いものですが、仕事が主な原因で発症することもあります。
認定改正基準のポイントは以下の通りです。
〇長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
これまで、長時間の過重業務の評価にあたり、発症前1ヶ月におおむね100時間または発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について、業務と発症との関係が強いと評価することを示していました。
この基準について、これらの時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働があった場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価することを明確にしました。
〇長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
(勤務時間の不規則性)
・拘束時間の長い勤務
・休日のない連続勤務
・勤務間インターバルが短い勤務
・不規則な勤務・交代制勤務・深夜勤務
(事業場外における移動を伴う業務)
・出張の多い業務
・その他事業場外における移動を伴う業務
(心理的負荷を伴う業務)
(身体的負荷を伴う業務)
(作業環境)
・温度環境
・騒音
〇短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
(短期間の加重業務)
・発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合
・発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合
(異常な出来事)
・業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
・事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
・生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
・著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等を行った場合
・著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合
〇対象疾病に「重篤な心不全」を追加
新たな対象疾病として重篤な心不全が追加されました。この重篤な心不全には、不整脈によるものも含まれます。
以上ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
2021.10.10
長時間労働が疑われる事業場への監督指導結果(令和2年度)
東京都渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
厚生労働省は、長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表しました。
これによりますと、対象となった24,042事業場のうち、8,904事業場(37.0%)で違法な時間外労働が確認されました。このうち実際に1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は2,982事業場(違法な時間外労働があったもののうち33.5%)でした。
また、賃金不払残業があったものは1,551事業場(6.5%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものは4,628事業場(19.2%)となっています。
これらの中でも注目すべきは「始業・終業時刻の確認・記録」(2,609事業場)や「自己申告制による場合の実態調査の実施」(1,806事業場)等の勤務時間の把握義務についての調査数が目立っています。
世の中がコロナの影響下で大変な状態にあるとは言え、従業員の勤務時間の把握は対象が正社員はもちろん管理職であっても、健康への影響や深夜労働の有無の把握のため会社の義務となっています。また在宅勤務であっても携帯電話やPCメールで連絡が付く場合、または自己申告などにより勤務時間を把握しておく必要が会社にはありますので注意が必要です。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
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