アリスト社労士行政書士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2020年05月

2020.05.31

出勤停止の感染症について

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。


本日は、就業規則にも一般的に規定のある感染症による従業員の出勤停止についてご案内します。

就業規則に以下の定めがある場合が多いと思います。

57条(出勤停止)

1 従業員が、次の各号のひとつに該当する者は、就業を禁止する。

1)病毒伝染病のおそれがある結核

2)法定伝染病およびその疑似病

3)丹毒、再帰熱そのほかこれに準ずる急性熱病

4)梅毒、かいせんそのほかの伝染病皮膚病

5)膿漏性結核炎・伝染性眼病

6)前各号に準ずる疾病で、厚生労働大臣が定める疾病になった者

7)前各号のほか、感染症などの法令に定める疾病に感染した者

従業員が上記に該当する場合は、就業を禁止し、休業手当も不要となります。
ただし、業務近因性があれば、労災保険の適用になりますし、健康保険法の傷病手当金の適用になります。

そもそも、このように就業規則で定めるケースが多いのは、法律で「感染症の予防及び感染症患者に対する医療の法律」が規定されているためです。この法律は、一般に「感染症法」と呼ばれています。


この感染症法は、下記にように分類されています。

一類感染症・・・危険度の高いエボラ出血熱やクリミア・コンゴ出血熱など
〇二類感染症・・・その次に危険度の高いジフテリアや結核など
〇三類感染症・・・コレラや細菌性赤痢など
〇四類感染症・・・類~三類感染症以外のもので、人から人への感染はほとんどないが、動物や飲食物を介して人に感染するデング熱や狂犬病、マラリアなど
〇五類感染症・・・国民や医療関係者への情報提供が必要となるアメーバ赤痢やウイルス性肝炎など


その他、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症ががあり、今回、新型コロナウィルスも指定感染症にさだめられています。

厚生労働省は、この指定感染症については、一類から三類と同様の措置を講じなければ、国民の生命及び健康に重大な影響を与える恐れのある感染症としています。

以上ご参考にしていただければ幸いです。


ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.05.24

4月労働基準法改正に伴う賃金債権事項のご案内

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

コロナウィルの影響で、大きく取りざたされていない法改正が4月あったのはご存知でしょうか?

本年4月より民法が改正され施行されました。
この民法改正に伴い、労働基準法も改正されています。
改正内容として、賃金債権の消滅時効が、2年から3年に延長されました。
この賃金債権で大きなものは、残業代の未払いとなります。
これまでは、残業代未払いが過去2年に遡って請求できていましたが、今後、3年に遡って請求できます。
この3年ですが、施行から5年後に、3年に延長したことの状況を勘案して、5年にするか否かの検討に入るとのことです。
「何故、5年に再度の見直しの可能性があるのかと?」といいますと、2017年に民法が改正され、2020年4月に施行されました。この民法の改正では時効を統一しており、契約に基づく債権の消滅時効は原則として5年に統一されたためです。
民法では、2020年3月31日まで、「月またはこれより短い時期によって定めた使用人の給料等に係る債権」について消滅時効は1年とされていました。これを労働者保護の観点から、特別法である労働基準法で、賃金請求権の消滅時効は2年に延ばしていたのです。
そして今回の民法により、契約に基づく債権の消滅時効が5年に統一されたことで、労働基準法の賃金請求権の消滅時効が民法よりも短くなったため、労働基準法も2年から3年に改正されたのです。
具体例
労働基準法では2020年4月1日以降に支払期日(賃金支払日)が到来する賃金債権から消滅時効が3年となります。
例えば、毎月25日払いの企業の場合は、2020年4月25日に支払う給与から3年になります。
【ポイント】 
2020年3月25日に支払った給与の消滅時効は2年のままで、2020年4月25日に支払った給与から3年となります。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.05.17

休業手当の【雇用保険・社会保険上の取り扱い】ポイントのご案内

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

新型コロナウィルスの影響で、休業手当を支給される企業も多くなってきています。

休業手当は、本来の会社の出勤日に、会社が休業した際に支給すべき手当です。
では、一体、給与計算上はどうなるんでしょうか?雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金)はどうなるんでしょうか?

勿論、通常の賃金と同様に課税対象となります。また、雇用保険料、厚生年金保険料、健康保険料等も控除の対象となります。
つまり、会社側から見たら、法定福利費の負担は変わらず、従業員側から見たら控除される社会保険料の金額も変わりません。
※雇用保険料は、支給額により変動します。

企業により、休業手当を60%から100%支給する場合がありますが、社会保険料(厚生年金・健康保険)については、特に注意があります。
社会保険の毎年の恒例の行事として、算定基礎手続きがありますが、これは、7月1日を基準に判断されるため、4月・5月・6月全て休業手当があるケースと、1か月、2カ月のみ休業手当があるケースと取り扱いが変ります。

また、休業手当支給月に昇給があった場合であっても、休業手当がある場合は、月額変更届の提出が不必要となります。

雇用保険についても、従業員が退職した場合は、休業手当支給月については、備考欄に休業手当額、休業手当日数を記載する必要があります。

休業手当を支給することにより、通常の実務と異なるケースがありますので、ご注意ください。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2020.05.10

緊急・不測時のテレワーク&時差通勤導入について

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

新型コロナウイルスの広まりによって、さまざまな企業がテレワークの導入を開始しています。
関東圏は、緊急事態(特別警戒地域)が延長され、当事務所お客様との定期面談も5月一杯は、外部からは社内に人を入れない。社員も計画出勤等の方針のため、中止になりました。
また、お客様の担当者とも通勤の話題になりますが、在宅勤務でないときは、都内まで電車を避け、自電車で通勤されいる方もいらっしゃいます。
 
以前からテレワークについては、実施する企業が増えつつありましたが、ここへ来て一気に周知・増加してきました。TVの宣伝も、クラウドシステムの会社が増えてきましたね。
一方で、企業のなかには、必要性を感じてはいるものの、テレワークの導入になかなか踏み切れていないケースもあります。 
本日は、緊急・不測時のテレワークや時差通勤の導入方法などをご案内させていただきます。 

緊急・不測時のテレワーク導入方法 

本来、テレワークは生産性の向上や勤務者の通勤時間等の移動時間の短縮などのために導入されるものです。 
導入するまでには、導入目的の明確化、対象範囲の決定、現状把握、導入に向けた具体的な準備といった流れをとります。
そして、試行導入、効果測定などを行って、ようやく本格導入へと進みます。 
しかし、今回のような緊急の事態においては、上記のような課程を考慮する時間がありません。 
経営判断で、テレワークを導入されることも大切です。 
在宅勤務を導入する場合は、労働条件の変更や特別な規定の作成なども本来は必要ですが、その準備や合意にも時間を費やすため、今回のような場合は、それらを作成せずに導入している企業がほとんどです。 
緊急事態宣言(特別警戒地域)が収まるまでの期間限定的なテレワークのため、原則的には試験的導入としてテレワークを取り入れ、給与や業務内容などの労働条件の変更は不要だと考えます。 
また、今回のようなケースは、勤怠管理も簡易的に済ませているケースが多いです。 
上長に業務開始時と終了時に報告のメールを送るくらいにとどめている企業も少なくありません。 
始業時間や休憩時間などの最低限のルールだけ決めておき、上長が、臨機応変に業務を指示していく必要があります。
 

時差通勤を導入 

業務上、どうしてもテレワークを導入できない企業は、時差通勤などを導入して従業員を守るという方法もあります。
時差通勤などで、混雑した電車を避けるのも有効な感染対策になるといわれています。 
始業時間や就業時間、休憩時間などは就業規則で決まっていますので、変更する場合には、就業規則の見直しを行い、従業員に周知させ、労働基準監督署に届出をするという流れとなります。しかし、テレワーク同様に緊急時には臨機応変に対応する必要があります。 
時差通勤を行う場合は、全従業員にメールで始業時間や終業時間を変更する旨を伝え、全員に周知させたあと、早急に時差通勤を開始することも大切です。 
就業規則の見直しは、あとで作成すれば問題ありません。 
ただし、既に、就業規則の文面で「業務の都合、その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、または繰り下げることがある」という規程があれば、上記の見直しをせずともクリアになります。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
 

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