アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2019.09.18

福利厚生等で差を付けるのは違法?(正社員と派遣社員)

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

本日は、待遇差による注意点をご案内します。よく取りざたされるのは、正社員と派遣社員における福利厚生施設利用に関しての待遇差です。 
例えば
正社員は社員食堂を使えるが、派遣社員は使えない
正社員だけが無料のコ-ヒ-サーバ-が飲める
等の規定が設けられていたり、規程がないにしても、口頭などのル-ルとして運用している企業が存在し、ネットの社会では、待遇差に異論を唱えたり、企業を批判したりする内容も多く見受けられます。 
では、正社員と派遣社員で福利厚生面で待遇差を設けることは違法なのか?
 
今後、「働き方改革関連法」の一つとして、同一労働同一賃金の推進が定められており、2020年4月(中小企業は2021年4月)から施行されます。
契約社員やパート、アルバイトに対して、仕事内容が正社員と同じである場合には、賃金や休暇、そして福利厚生などを正社員と同じ待遇にしなければならないと義務付けられています。
 
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいます。つまり、派遣元である会社と雇用契約を結んでおり、派遣先との企業とは雇用契約を結んでいません。
從いまして、派遣先企業の正社員と同じように働いていても、あくまで派遣元会社から派遣されて派遣先企業にて勤務しています。
社員食堂や無料のコ-ヒ-サーバー、休憩室、更衣室などの施設及び共有の設備などの福利厚生は、原則、会社が自社雇用の従業員に対して提供しているものです。派遣社員は、派遣元会社の社員であり、派遣先に雇用されているわけではありません。つまり、派遣社員に対して、派遣先の会社は福利厚生を提供する義務はありません。 
したがって、正社員は社員食堂を使えるが、派遣社員は食堂を使えない等の待遇差は、法的には、ただちに違法、問題になるとはいえません。 
また、当事務所が給与計算しているクライアント様がそうですが、給与計算の源泉所得税や、厚生年金・社会保険の現物給付にも関わってきます。
昼食の無料提供などの場合は、厚生年金・健康保険の場合は、1食250円(東京都)/日の現物給付として通常の賃金に上乗せされて社会保険料の豊潤報酬月額が決定されます。また、従業員から源泉徴収も価格により発生します。価格が一定金額以下の場合は、福利厚生費となるようですが。
このような理由から派遣社員は、自社の社員でないので、社会保険や給与源泉徴収の問題から、派遣社員に福利厚生を提供することはできないのです。
しかし、例えば更衣室の利用等につきましては、2015年に「働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」が改正されました。 これは、派遣社員に対する、福利厚生施設の利用に関わる「配慮義務」となります。
これは、派遣社員が食堂や休憩室などの福利厚生施設を正社員と同じように利用できるよう配慮しなければならないというものです。 
この法律は、福利厚生については正社員と同待遇を提供することが出来なくても、可能な限り待遇格差を埋めるように配慮しなければならないものです。
たとえば、スぺ-スの都合上、派遣社員の食堂利用を制限していたとすれば、社員と派遣社員の食堂の利用時間をわけて利用させるなどの措置をとる必要がありますし、正社員だけにロッカーがある場合は、派遣社員にもロッカーを用意するように配慮しなければなりません。 
この法律は、協定ではなく、配慮義務のため、仮に違反しても罰則はありませんが、行政指導が行われる場合があります。 
結論から言えば、福利厚生利用での待遇差は、会社的にもよい結果をもたらしません。派遣社員への配慮はもちろん、派遣元会社と協議し、可能な限り待遇差をなくしていくことが大切です。 
一度、自社の派遣社員の待遇を見直してみてはいかがでしょうか。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございます。

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