アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ
2019.06.05
賞与に係る報酬の明確化(健康保険・厚生年金)
東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
2019年も今月で折り返し地点になりました。
6月は労働保険年度更新、7月は社会保険算定の時期となり繁忙期に突入です。
今回のテ-マのご案内をさせていただきます。
まずは、年4回以上支払われる賞与の社会保険上の取扱いです。
年4回以上支払われる賞与の取扱い
毎年7月1日現在において、賃金等で毎月支給されるもの(通常の報酬)以外のもの(賞与)の支給実態がつぎのいずれかに該当する場合は、その賞与は「賞与に係る報酬」として報酬に該当します
(1年間の合計額を12で割った額を各月にプラスします。)
(1年間の合計額を12で割った額を各月にプラスします。)
ア 賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定によって年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているとき
イ 賞与の支給が7月1日前の1年間を通じ4回以上行われているとき
なお、賞与の支給回数が、その年の7月2日以降に新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合においても、次期の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)までの間は、報酬に係るその賞与の取扱いは変わりません。
年4回以上の判定
年間を通じ4回以上支給されるものは「賞与に係る報酬」、3回以下のものは「賞与」に該当します。このため、支給間隔によらず、年間の支給回数が3回以下であれば、「賞与」に該当します。
また、「4回以上の支給が客観的に定められている」とは、諸手当等の支給の可能性が諸規定に定められているだけでなく、基本的に諸手当等が支給されることが想定される場合を意味します。このため、諸規定に「支給することができる」あるいは「勤務成績の上位の者のみに支給する」といった事由が定められるなど、必ずしも支給されることが想定されない場合には、次期定時決定までは、賞与支払届の定時決定の際、支給実績が4回以上であるかどうかで「賞与に係る報酬」又は「賞与」のいずれに該当するかを判断することになります。
今回明確化(改定)されたことがあります。
① 諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別します。
例:「手当A1」(毎月支給)と「手当A2」(半年毎支給)について |
ⅰ給与規程上、賃金台帳上のいずれかにおいて「手当A」とまとめて規定、記載されていても、給与規程上、賃金台帳上のいずれかにおいて「手当A1」「手当A2」に区分して規定、記載されていれば、「手当A1」を「通常の報酬」、「手当A2」を「賞与」※賞与として取り扱います。
ⅱ給与規程上「手当A1」と「手当A2」に区分して規定、賃金台帳上は「手当A」としてまとめて記載。
支給額から「手当A1」「手当A2」が一体で支給されていると考えられる場合であって、給与規程及び賃金台帳のいずれにおいても「手当A」として手当が区分されておらず、客観的に区分できない場合は、「手当A」は一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されるものとして、「賞与に係る報酬」として取り扱います
※赤は手当A1と手当A2の合算額。
②諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときには、次期の決定・改定までの間は「賞与」として取り扱います
新たに諸手当等の支給が諸規定に定められた場合、仮に年間を通じ4回以上の支給が客観的に定められている場合であっても、次期の定時決定等による標準報酬月額が適用されるまでの間は、「賞与」として取り扱い、賞与支払届を都度提出する必要があります。
次期の定時決定等の際には、諸規定や支給実績を元に、定時決定等の対象となる「賞与に係る報酬」となるか年三回以下の「賞与」となるかを判断し、「賞与に係る報酬」となった場合は、前年の7月1日から既に新たな諸規定による諸手当等の支給条件であったとすれば7月1日前1年間に受けたであろう賞与の額を、支給実績より推計し、その額を12で除して得た額が「賞与に係る報酬額」となります。
ご参考になりました?
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。