アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2019年05月

2019.05.22

「週休1日」制度でも問題ない?

 東京都・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日のテーマは、「週休1日制度でも問題がない」です。

労働基準法では、使用者は毎週少なくとも1回の休日、または、4週間を通じて4日の休日を与えなければならないと規定されています。
つまり、最近多い、完全週休2日制や週休2日制度を導入しなければならない規定は存在しません。


先日、行政書士業務となりますが、建設業許可申請でお世話になったお客様から、そのお客様が市ポットで依頼された社会保険労務士が作成した就業規則が週休1日制とのことで、従業員からクレ-ムが来ており困っているとの相談がありました。

就業規則の内容は、
〇月曜日から金曜日
始業8:00終業17:00
休憩:10:00~10:30(30分)12:00~13:00(60分)15:00~15:30(30分) 合計:120分
実働時間7時間

〇土曜日(午後・午前交代制)
8:00~13:00(午前)
12:00~17:00(午後)
午前も午後も実働5時間

〇労働基準法のクリアが出来ているかの検証
1日の労働時間は、月曜日から土曜日まで1日8時間未満のためクリアとなります。
1週間の労働時間は、40時間のためクリアとなります。

小職が追加でアドバスをさせていただいたのは、
1.月曜日から金曜日までの昼休み以外の休憩がしっかり管理され取得されているか否か
2.1日の労労働時間が8時間をこえ、かつ、1週間の労働時間が40時間を超えた場合は、割増賃金の支払いをされているか否か
のみです。

週休1日制ですと、今般の人手不足の中、応募が少ないと想定されますが、労働基準法上は問題ありません。
1日の所定労働時間(実労働時間)を例えば6時間とすれば、月曜日から土曜日まで均等な時間となります。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.05.19

算定基礎届の提出すべき対象者の範囲

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、5月19日。私事の余談ですが、私の誕生日です。
いよいよ50代に突入しましたが、プレイングマネージャーとして頑張ります。プレイングマネージャーの意味は、プレイヤーとしての業務と管理職としてのマネジメント業務の双方を担うポジションと言われていますが、私の場合、プレイヤーとしての業務と経営者としての経営業務の双方を担っています。単純な個人事業主ですね。40歳前後は、行政書士の受験勉強からスタ-ト。合格後は社会保険労務士の受験勉強開始・合格。この10年間は、会社勤務、受験勉強、独立開業と20代、30代の会社勤務時代と比較し、あっという間に時が流れたように感じます。

さて、来週あたりから、核事業所さんに、労働保険の年度更新のご案内や、従業員の住民税特別徴収のご案内などの郵送物が多く届く時期となります。

社労士業業界では、6月は労働保険年度更新、7月は算定基礎届と繁忙期と言われています。

本題ですが、算定基礎届【厚生年金・健康保険】の取り扱いの変更についです。

平成31329日付の厚生労働省年金局事業管理課長名の通達で、「月額変更届」の提出によって7月から9月に標準報酬月額が改定されることとなる予定の人については、事業主から申出があれば、「算定基礎届」を提出しなくてもよいことになりました。

「算定基礎届」とは、その年の4月・5月・6月に支給した報酬月額を71日~710日に年金事務所等に提出する届出です。「算定基礎届」で届け出た報酬月額に基づいて、その年の9月から翌年8月までの1年間の標準報酬月額が決定されます。一方「月額変更届」は、昇給などの、固定的賃金の変動で「月額変更届」を提出し、その年の7月・8月・9月から標準報酬月額が改定されます。

結論を言いますと、7月の「算定基礎届」の中で7月・8月・9月の「月変変更届」対象(予定)者は、法律上提出する必要はないということです。


今まで、東京方式と呼ばれていた方式です。埼玉や神奈川県の年金事務所では、算定基礎届の際、備考欄に7月月変予定記載し届出、その後、改めて、月額変更届を届出していました。(7月対象者は算定と月変と重複届け出になります)

勿論、通達が出たからと言って、今まで通りの実務でも構いません。
とりあえず、7月「算定基礎届」(8月・9月月変予定者を含む。)「月額変更届」については提出し、8月や9月の「月変対象予定者」は、給与支給月に給与システムが抽出してくれますので、その後、「月額変更届」を提出された方が実務上漏れがないですし、「戻し算定基礎届」のリスクがないです。

ここまで当事務所のブログをよんでいただき、ありがとうございました。

 

 

2019.05.15

求人の年齢制限について

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

今月は、大型10連休もあり、本日で5月の折り返し地点。5月も後半月となりました。

当事務所のクライアント様で従業員が退職されたため、ハロ-ワ-クにて求人を掲載したいとのことで、私の方でクライアント様の代わりに求人の申込に行ってきました。

クライアント様との事前打ち合わせで、可能であれば、「年齢不問」でなく、現在の社員の年齢構成を考え年齢制限をつけたいとご相談を受けました。
結論としましては、例外で年齢制限を設けることは、認められます。

「年齢不問」は平成19年10月の雇用対策法の改正により労働者の募集および採用について
【年齢にかかわりなく、均等な機会を与えなければならない】
と規定されています。つきましては、求人の際、年齢制限を設けて人材を募集することは、原則として禁止されています。
禁止された背景としましては以下の通りです。

〇年齢制限禁止の義務化は、個々人の能力、適性を判断して募集・採用することにより、一人ひとりにより均等な働く機会が与えられるようにするという目的

〇年齢制限を設けて募集・採用を行うことは、職を求める高齢者や年長フリーターなどの、応募・就職の機会を閉ざしてしまうことにつながる。
〇少子高齢化が急速に進展するなかで、日本の就業者数は、2020年には2009年と比較して433万人減少することが見込まれて、若者や高齢者などの就業の促進が重要な課題
〇「年齢不問」としながらも、書類選考で実質的に年齢制限しているケースも見受けられ、人柄や意欲などは、書類選考だけでは適切に判断することができないものです。書類選考だけでなく、実際に面接をして判断することが、求める人材の採用につながります。
しかし、例外として年齢制限が求められる場合があります。
例外事由1号
定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

例外事由2号
労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合

例外事由3号イ
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

例外事由3号ロ
技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

例外事由3号ハ
芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合

例外事由3号ニ
60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の 施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.05.12

試用期間の意味と運用について

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

当事務所の複数のクライアントさんで4月に新卒社員から中途採用の社員まで多数の入社手続きを代行させていただきました。4月になると、健康保険・厚生年金・雇用保険の取得手続きが100件を超えてしまいます。

その複数のクライアントさんで、就業規則において、「試用期間」を設定しています。
本日は、試用期間の意味とその運用についてご案内させていただきます。

試用期間の意味

試用期間とは、今後、会社の従業員として中長期的にふさわしい人材であるか、適格性を判断するための期間になります。
 試用期間中に適格性に欠けるとして、会社が一方的に従業員を本採用しないことを決めて通知することは、一般的には解雇【留保されていた解約権の行使】となりますが、長く働いているその他の従業員を解雇することに比べ、広く認められると考えられています。ただし、試用期間中であっても解雇の理由は【合理的】なものでなければならず、能力や行動などの適格が欠ける部分を具体的に明示、教育・指導を行い、能力の向上や勤務態度の改善してもらう必要があります。
試用期間は、「会社に単に合わない」「会社の人間関係があわない」「期待していた能力が足りない」といった理由で本採用を見送ることはできません。いくら、通常の場合よりも広い範囲での雇用調整が認められているとはいえ、客観的な理由があり、社会通念上本採用拒否が相当とされる場合【合理的】のみ、本採用の見送りや試用期間中の雇用調整が許されています。具体的には、
・採用決定後の調査で経歴が詐称されていると分かった
・遅刻早退欠勤を繰り返す
・勤務態度が極めて悪かった
など採用時には知ることができなかった事実を知ることになった場合で、かつ客観的に解約権を行使することが相当であると認められた場合のみ、本採用の見送りが認められています。試用期間中だからといって、自由に権利を行使できるということではありませんので注意が必要です。
本採用を行わない場合、手続きとしましては、以下2点にわかれます。
〇試用開始から14日以内の場合の手続き
試用開始から14日以内に本採用を見送り、解雇手続きを行う場合は、労働基準法第21条の規定により、前もっての解雇予告や解雇予告手当を支払う必要ありません。しかし、14日以内なら自由にできるというものではなく、あくまでも客観的な理由が必要となります。
〇試用開始から14日を過ぎた場合の手続き
試用開始から14日を過ぎて解雇手続きを行う場合には、通常の解雇と同じ手続きを行う必要があります。
少なくとも30日前に予告をするか、あるいは解雇までの日数に応じた日数分の平均賃金として、解雇予告手当を支払わなければいけません。

試用期間の設定期間

試用期間は一般的に1ヶ月から6ヶ月程度で定められていることが多くありますが、その設定期間は法律上の定めがありません。しかし、試用期間中の従業員の身分が不安定なものとなるため、あまりにも長い期間を設定した場合は裁判等において無効とされる可能性があります。

試用期間の延長

あまりにも欠勤が多く出勤日数が少なく、入社当初に設定した試用期間では、本採用の可否が判断できないことも考えられます。このような場合は、試用期間延長が考えられます。その際は、対象従業員に試用期間を延長する理由と延長する期間を伝え、会社が従業員に期待する業務水準等を明確にしておくことが必要となり、延長後の本採用可否を判断する際のポイントになります。

就業規則に定める事項

試用期間を設けるには、就業規則で定める必要があります。一般的には以下の事項となります。
〇試用期間の目的
〇試用期間の長さ
〇試用期間中の賃金やその他の労働条件
〇本採用しない場合の基準
〇試用期間の延長に関する事項
〇勤続年数の算定にかかる試用期間の取扱い
会社は、試用期間中だから、雇用した従業員を「試用期間中だから解雇できる」と、安易に考えられているケ-スが見受けられますが、それは誤りです。従業員本人が納得せず、本採用を見送った場合は、民事訴訟へ発展しかねません。
会社・従業員双方で合意できるように、指導書等書面で記録を残すことが大切です。口頭で「言った、言わない」のことは、避けましょう。
「結論」・・・従業員の生活や人生がかかっていますので、採用は慎重に行いましょう。また、人手不足と言われている時代だからこそ、慎重さが欠けてしまうと想定外のトラブルに発展することもあります。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.05.05

採用や求職の際の休日設定・解釈について

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

今日は、こどもの日ですね。大型GWも残すは後1日です。

本日は、採用を出す際、または、求職者が求人を見る際の休日についてご案内します。
休日は、従業員にとって大きな関心事です。

事業主は労働基準法に定められた休日についてよく理解する必要があります。あいまいな状況下で、労働条件を設定し、従業員を採用した場合、思わぬ労働トラブルに発展しかねません。

事業主の採用募集や従業員の求職の際、よくトラブルとなるのが、「週休2日制」と「完全週休2日」の相違点と、休日の取得パターンのです。

完全週休2日制

従業員は1年間を通じて毎週2日間、休日を取得することができます。例えば、1年のうち、休日が1日しかない週が1回でもあれば、それは完全週休2日制とはいえません。毎週、必ず休日を2日間取得できるのが特徴です。完全週休2日制のメリットは、従業員にとって安定的に休日が取れる点です。なお、完全週休2日と言っても、必ず土日に休日を与える必要はありません。日月や火水や月金と従業員に休日を与えることも可能です。さらに、休日の曜日を固定する必要もありません。

週休2日制

週休2日制とは、従業員の休日が2日ある週が毎月最低1回はある休日形態のことをいいます。
つまり、最初の1週間に休日が2日あれば、次の週が1日、次の次の週が2日と隔週の場合でも、週休2日制になります。多いのは、求人票には、「週休2日制」「ただし、会社カレンダ-による」と記載されていたから、週に2回は必ず休日があるとよく誤解する方も多いのでご注意ください。完全週休2日と同様に、休日の曜日を固定する必要はありません。

 週休2日制の特徴は、いろいろな休日の取得パターンを考えることができます。たとえば、会社の業務が忙しい時期には週休1日にして、それ以外の時期は週休2日にすることも可能です。週末が忙しい飲食店の場合、月曜日が定休日で、第1週・第4週のみ火曜日が休みというパターンも考えられます。週休2日制は、職種や業種に応じて休日の取得パターンを設定できるという特徴があります。

週休2日制を運用する場合は、1週間40時間・1日8時間労働が大原則ですので、「1年間の変形労働時間制」「1か月間の変形労働時間制」の導入が想定されます。

 

 ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

お電話でのお問合せ、初回相談無料03-6300-4902

アーカイブ

Copyright (C) アリスト社労士事務所 All Rights Reserved.

渋谷区・港区・新宿区などの社会保険労務士(社労士) 就業規則・給与計算代行・労務相談は、アリスト社労士事務所にお任せください。給与計算の代行(Web明細書) 労働・社会保険手続きや人事相談・労務管理をはじめ、労基署調査対応や就業規則の作成・変更などのサービスをご提供しています。