アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2019年03月

2019.03.31

労働時間の状況の把握が義務化!

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

いよいよ明日から新年度がスタ-トしますね。
本年は、働き方改革の新たな法施行がなされます。

前回のブログで概要をご案内させていただきましたが、本日は、「労働時間の状況の把握が義務化」について具体的にご案内させていただきます。【労働安全衛生法】

労働基準法と何が異なるのか?

労働基準法では、労働時間、休日、深夜残業などの規程がありますので、経営者は、労働時間を適正に把握、管理する義務を有しています。賃金台帳には、従業員ごとに労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を適正に記入しなければなりません。つまり、労働時間の状況を客観的に把握することが求められています。しかし、実情は、適切に把握・管理できていない場合が少なくありません。

このような状況下、平成29年1月に厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために、経営者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、経営者には、労働時間の状況を把握する責務があるとし、具体的な把握方法を明確にしました。

把握方法とは?

原則的な方法として2点あげています。
1.経営者(使用者)が自ら現認することにより確認する。
2.タイムカ-ド、ICカ-ド、パソコン使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する。
労働時間の状況を把握するとは、単に1日何時間働いていたかとの確認だけでなく、労働日ごとに始業時刻・終業時刻を経営者が確認・記録し、何時間働いていたかを、客観的な方法によって把握・確定する必要があります。

出勤簿へ従業員が判を押すだけで可能?

判を押すだけでは認められません。始業・終業・休憩の実際の時刻を記載した出勤簿の作成が必要です。ただし、直行・直帰の場合などに自己申告が認められるとされています。

今回の義務化は、罰則はありませんが、労働基準法とあわせて経営者の責務がより強化され明確化されました。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.03.27

平成31年4月からの労働法関連改正のご案内

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

2019年も来週からは4月になります。
早いものです。

4月は、労働分野や社会保険関連の法改正が盛りだくさんです。
本日は、その法改正についてご案内させていただきます。

年次有給休暇の年5日の時季指定付与義務

使用者は、年次有給休暇を10日以上付与する労働者に対して、年5日の年次有給休暇を取得させる制度です。
取得日数が5日に満たない労働者に対しては、使用者がその労働者の意見を聴取し、可能な限り労働者の希望に沿った時季を指定して取得させなければならなくなります。

時間外労働の上限規制の適用

使用者は、労働者の過半数代表者と36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出た場合、協定に定めにより、労働時間を延長し、休日労働をさせることができますが、その延長時間に罰則付きの上限が設けられます。
一般条項:月45時間以内、年360時間以内
特別条項:年6回まで月45時間を超えて労働させることができますが、最大で年720時間迄
共通:休日労働を含めて単月100時間未満、複数月平均80時間以内
※中小企業は、2020年4月まで猶予され、建設業等は2024年4月まで猶予されます。

フレックスタイム制の精算期間の上限が3カ月に延長

フレックスタイム制の精算期間がこれまでの上限1カ月から3か月に延長されます。精算期間が1カ月を超える場合は、労働基準監督署へ労使協定の届け出が必要です。

高度プロフェッショナルの導入

業務の性質上、従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くないと認められる高度専門職に就き、かつ、高収入の労働者を対象に、36協定の規程が除外される高度プロフェッショナル制度が創設されます。

労働時間の状況の把握義務

事業者は、長時間労働者に対して医師による面接指導を実施するため、すべての労働者の労働時間の状況を客観的な方法で把握しなければなりません。

医師による面接指導の拡大

医師による面接指導の要件がこれまでの月に100時間を超えた者から月に80時間を超えたものに見直されます。

産業医の活動環境の整備等

産業医を選任した事業者は、産業医の業務等を労働者に周知しなければなりません。また、事業者は、産業医が労働者の健康管理を行うために必要な情報を産業医に提供しなければなりません。

などです。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.03.20

労働基準法と労働契約法の相違点

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、労働基準法と労働契約法との相違点についてご案内します。
労働契約法は、平成20年3月1日から施行され、労働契約についての基本的なルールがわかりやすい形で明らかにされました。労働契約法の趣旨や内容を踏まえ、使用者と労働者で話し合い、お互いの十分な理解と協力の下に、安心・納得して
働けることを趣旨とした法律です。
また、平成24年8月に改正労働契約法が成立しました。有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めなどに対する不安を解消し、働く方が安心して働き続けることができるようにするため、有期労働契約の適正な利用のためのルールが定められています。

では、労働基準法と具体的な相違点をご案内します。

項目 労働基準法 労働契約法
制度趣旨 労働基準法に基づき、違反があった7場合には労働基準監督署において是正の監督指導等を行うもの 労使間のトラブルを防止するため、労働契約法において
民事上のルールとして定められているもの
原則

昭和22年制定。労働条件に関する最低基準を定めています。
(1)賃金の支払の原則
直接払、通貨払、金額払、毎月払、一定期日払
(2)労働時間の原則
1週40時間、1日8時間
(3)時間外・休日労働・
労使協定の締結
(4)割増賃金
時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
(5)解雇予告
労働者を解雇しようとするときは30日以上前の予告または30日分以上の平均賃金の支払
(6)有期労働契約
原則3年、専門的労働者は5年
この他、年次有給休暇、就業規則などについて規定されています。

労働契約の締結や変更は、以下の原則に基づいて行うこ
とが必要です

(1)労使の対等の立場によること
(2)就業の実態に応じて、均衡を考慮すること
(3)仕事と生活の調和に配慮すること
(4)信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を
濫用してはならないこと
労働条件の明示 使用者が労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。

労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合に、使用者が、
(1)
合理的な内容の就業規則を
(2)
労働者に周知させていた場合には、
就業規則で定める労働条件が労働者の労働条件になりま
す。

契約期間 契約期間に定めのある労働契約(有期労働契約)の期間は、原則として上限は3年です。なお、専門的な知識等を有する労働者、満60歳以上の労働者との労働契約については、上限が5年とされています。 使用者は、有期労働契約によって労働者を雇い入れる場
合は、その目的に照らして、契約期間を必要以上に細切
れにしないよう配慮しなければなりません。
労働契約の変更
  • 合意による変更の場合でも、就業規則に定める労働条件よりも下回ることはできません。

・労働者と使用者が合意をすれば、労働契約を変更でき
ます。
・使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不
利益に
労働条件を変更することはできません。なお、就業規則
によって労働条件を変更する場合には、
(1)内容が合理的であることと
(2)労働者に周知させることが
必要です。

労働契約の終了

◎解雇予告手当
やむを得ず解雇を行う場合でも、30日前に予告を行うことや、予告を行わない場合には解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うことが必要です。

・解雇の有効性解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合、権利を濫用
したものとして無効となります。


・契約期間に定めのある労働者については、やむを得ない
事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間
において労働者を解雇することができません。
裁判例によれば、契約の形式が有期労働契約であっても、
期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に契約と実質的に異ならない状態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合があります。

つまり、労働基準法では会社に人事権があるため、一方的な通告でも労働基準法の要件を満たせば、勿論、労働基準法違反にはなりませんが、一方、労働契約法(民法)もあるため、民事訴訟になるリスクもあります。つまり、労働基準法と労働契約法を意識した会社経営・人事や労務管理が必要です。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.03.13

36協定の相談事例と改定のご案内

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

当事務所のクライアント様で、1日の所定労働時間が7時間30分のケ-スがあります。この場合は、8時間迄は、法定内残業となり、(始業時間から休憩時間を除いた実働8時間までの労働時間)割増賃金の支払いは不要となります。

つまり、所定労働時間が7時間30分の会社で、実働8時間までの30分間残業した場合、時間単価が2,000円の従業員であれば、30分の法定内残業は1,000円を支払えば法的に問題ありません。しかし、8時間を超えると25%以上の割り増しの支払いが必要となります。 
ご参考ですが、大企業は来月より労働基準法(労基法)の改正によって、時間外労働には上限時間に規制が加わり、さらに罰則付となります。
中小企業は1年遅れて2020年4月から適用になります。36協定の様式は2種類に変わるのでご注意ください。 

36協定とは? 

労働基準法36条では、時間外・休日労働協定に関する協定届(サブロク)協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることによって、法定労働時間(1日8時間または週40時間)を超えて、または法定休日(週1回の休日)に労働させることができます。 

来月から時間外労働は罰則付きに 

36協定で定める時間外労働に関しては、企業に罰則付きの上限が設けられることになります。
罰則とは、雇用主に半年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるというもので、大企業は2019年4月から中小企業は1年遅れて2020年4月からの適用です。 
今後の注意点は以下の通りです。
時間外労働の上限は【月45時間・年360時間】と定められています。例外として【臨時的な特別の事情】があれば、これを超えることができます。しかし、【臨時的な特別の事情】があり、労働者・使用者が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。
さらに、月45時間を超える時間外労働は年間6カ月までです。

36協定の様式も変更に 

現在の36協定の様式では、延長することができる時間の欄には、「1日」と書かれています。
しかし、新様式では、1日の欄は、「法定労働時間を超える時間数」、「所定労働時間を超える時間数」と区分されました。 
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.03.10

年次有給休暇の管理簿

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

いよいよ、来月より(4月1日以降)、10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対して使用者は年間5日の指定が義務付けられます。

また、使用者は労働者毎の年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存することが求められます。

年次有給休暇管理簿は、労働者ごとに年次有給休暇の、
・時季(年次有給休暇を取得した日付)
・日数(年次有給休暇を取得した日数)
・基準日(労働者に年次有給休暇を取得する権利が生じた日)
を管理するための書類です。
これは、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の法定帳簿「法定三帳簿」に追加されたことになります。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2019.03.06

平成31年度労災保険料率と雇用保険料率について

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

3月といえば、年度末です。4月になりますと、雇用保険料率や労災保険料率が変更になる場合があります。
労災保険料率は、3年に一度改定されることとなっています。昨年、平成30(2018)年4月1日に改正がありましたので、平成31(2019)年度は改正はありません。

雇用保険料率は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱について(諮問」内容によりますと、平成31(2019)年度の雇用保険率は、平成30年度と同じ9/1000(農林水産・清酒製造の事業は11/1000、建設の事業は12/1000)とする旨が記載されていてます。改めて公表されましたらご案内します。

また、雇用保険につきましては、平成31年度、平成32年度と注意が必要です。
1.現在、一般の雇用保険被保険者である方は平成31年度までは、保険年度の初日(4/1)において64歳となった場合は保険料が免除されます。
2.「高年齢継続被保険者」から「高年齢被保険者」へ自動的に切り替わった方は高年齢被保険者」へ自動的に切り替わった後も、平成31年度までは引き続き保険料が免除されます。
3.新たに「高年齢被保険者」の資格を取得した方は、平成31年度までは保険料が免除されます。

今後は、法律改正が施行されるまで、年齢到達した際に保険料が免除となる場合と、資格取得手続きは行うが保険料は免除となる場合が発生しますので注意が必要です。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

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