アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2018年10月

2018.10.31

定年退職後の健康保険の切替方法について

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

11月に当事務所のクライアント様の50歳以上の従業員を対象に、「定年退職後のライフプラン」の研修をさせていただくことになりました。
研修資料の内容で、よくクライアント様から問い合わせのある定年退職後の健康保険の加入方法について、本日はご案内させていただきます。

定年退職後の健康保険の選択方法は4つあります。

1.従業員の住所地(市区町村)の国民健康保険に加入
2.定年退職前に加入していた健康保険の任意継続被保険者として加入
3.家族が加入する健康保険の被扶養者となる
4.再び再就職し、再就職先の健康保険に加入

この選択方法で主なポイントをご案内します。
1.国民健康保険
当初の1年間は、前年度のすべての所得などを基に保険料が決定されます。

2.健康保険の任意継続被保険者として加入
健康保険料は、退職時の標準報酬月額(平成30年4月現在28万円を超える場合は28万円※)に基づいて決定されますが、在職中は事業主が折半で負担していた保険料を定年退職者自身が負担することになります。加入できる期間は最長2年間であり、この間の健康保険料は原則変更されません。任意継続被保険者となるためには、退職日の翌日から20日以内に、住所地の協会けんぽまたは健康保険組合で手続きを行います。
※健康保険組合の標準報酬月額の上限は健康保険組合ごとに決まっています。

3.家族の加入する健康保険の扶養者となる
被扶養者の要件は、被扶養者の年収が退職日から将来に向かって180万円未満(60歳以上の場合)であり、被保険者と同居の場合は被保険者の年収の1/2未満、別居の場合は年収の額が被保険者からの仕送額(援助額)よりも少ない場合という収入に関する要件があります。被扶養者となった場合は健康保険料の負担がないことから、定年退職者にとって負担の少ないものとなります。

4.再就職先の健康保険に加入
正社員でない場合でも、正社員の所定労働時間の4分の3以上の勤務や、アルバイトやパ-トでも会社によっては健康保険に加入できる場合があります。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.10.28

来春から労働条件の通知がEメールで可能になります

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

厚生労働省は、企業が労働者に書面で交付すると定めている労働条件の通知方法を、電子メールなどでも可能にするよう規制を緩和するとのことです。利便性を高めるための措置で、書面として印刷できれば情報管理上、問題ないと判断したようです。労働基準法に基づく省令を改正し、2019年4月から適用されます。

労働基準法第15条で、労働者に対して賃金、労働時間などを明示することを義務付けられており、下記の事項は書面で明示しなければならないとされています。 

労働契約の期間に関する事項
期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
退職に関する事項(解雇の事由を含む。)。 

 また、雇用契約書や労働条件通知書などを作成せず上記、労働条件を明示していない場合の罰則は30万円以下の罰金となっています。

これが来年4月から、労働者の希望があれば、Eメールで通知可能となります。 

ただし、実務上は、雇用契約書または労働契約書により、2部用意の上、会社と労働者が双方記名押印または署名して、取り交わすことが多い多いです。
「労働条件通知書」は、労働者へ一方的に通知することになりますので、私の認識している範囲ですと利用されている会社は少ないです。しかし、内定の連絡をする際に、労働条件通知書もあわせて案内し、その労働条件通知書に基づき内定者が入社の意思表示を行い、その後に雇用契約書や労働契約を交わすようにすれば、便利な法改正となりますね。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。 

2018.10.24

採用後の試用期間について

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

日々、朝晩が冷えるようになってきて、冬が近づいてきていますね。

クライアントさんから、何故、試用期間を設けるの?設けなければならないの?という質問を受けました。
この質問に対しては、会社の判断となりますので、試用期間を設けず、採用する会社もあります。

ただ、一般論となりますが、採用後に、双方ミスマッチが発生した場合、会社として雇った従業員を解雇することは、法律上困難です。
そもそも労働契約成立後に、労働契約を終了させる手段としましては、
1.解雇(会社の意思表示により労働契約の終了)
2.合意解約(会社と従業員が合意の上、労働契約の終了)
となります。

2につきましては、あくまでも、会社と従業員の双方同意が必要です。1につきましては、就業規則に規定するなどして運用しますが、社会通念上相当な理由がありかつ、やむを得ない合理的な根拠がないと、解雇が無効となります。

そこで、採用後に、まずは、試用期間を設け、その後に本採用とする会社が多いのです。この試用期間は、例えば1年や1年半など過度に長い場合は、無効とさせるケ-スがありますので、通常は、1か月から6か月で定める会社が多いです。
勿論、試用期間中だからといって、解雇事由が合理的でないと判断されたら、民事訴訟などで無効と判断される場合がありますので、注意が必要です。
試用期間中に、日々、指導やミ-ティングを行うことが必要ではないかと考えます。

また、試用期間中だから解雇は大丈夫でしょう?という社長さんがいますが、これも大丈夫ではありません。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.10.21

業務委託契約と派遣契約の違い

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険保険労務士・行政書士 郡山博之です。

当事務所は、行政書士業務も行っているため、行政機関の許認可申請業務を得意としています。労働者派遣業許可申請や有料職業紹介許可申請は、社会保険労務士業務ですが、毎年10数件の許可申請業務を行っており、これから、労働者派遣業許可申請を行うとしているクライアントさんからの相談事例をご案内します。

大前提は、工場の一部生産ラインを業務委託で請け負っている場合の業務委託契約と派遣契約の合法・違法性についてです。


事例1
A社は、B社に業務委託、さらにB社からC社に再委託されている場合
この場合、契約の流れは有効です。仮に工場の生産ラインのC社の従業員に対して、C社の管理監督者が指揮命令を行う場合は、合法です。ただし、C社の従業員に対して、A社またはB社が指揮命令を行う場合は、違法となります。

事例2
A社とB社は派遣契約を締結し、さらに、B社がC社と派遣契約を結び、C社の派遣社員がA社工場の生産ライン・指揮命令でで勤務する場合。これは、完全に2重派遣となり違法行為となります。

事例3
A社とB社が派遣契約を締結し、B社の派遣社員がA社工場生産ラインで勤務し、A社の指揮命令で業務を行う場合。これは、合法でB社は、労働者派遣業許可を取得する必要があります。

上記より、指揮命令者がどこの会社かにより、業務委託契約が違法となる場合もありますので、ご注意ください。さらに、安易に労働者派遣業許可を取得しても、二重派遣の問題も発生しますので、まずは、業務委託契約のままで現状を改善されるのか?それとも労働者派遣業許可取得され、自社で派遣社員を雇用するかなど、実態に応じて検討される必要があります。

ご不明な場合は、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございました。

2018.10.17

協会けんぽ被扶養者手続きの変更

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

最近、東京は全く晴れませんね。秋といえば、爽やかな秋晴れをイメ-ジしますが、まるで梅雨のようです。
地球温暖化が進むにつれて、春と秋がなくなり、夏と冬になると言われていますが、最近の気候は、まさにそのとおりですね。

10月1日より、「協会けんぽ/被扶養者異動届」に関する手続きが変更になりました。
被扶養者異動届とは、従業員(被保険者)の一定の条件を満たした家族を被扶養者とし、保険給付を行う仕組みであり、その被扶養者として認定されるための届出のことです。その「健康保険 被扶養者異動届」にて届出を行い、保険者(協会けんぽ)から認定を受け、被扶養者になれます。

変更点としまして、被扶養者として認定されるためには、被保険者の三親等以内の親族で、被保険者に生計維持されていること等、一定の要件があります。そのため、被扶養者の認定を受けるときには、身分関係および生計維持関係の確認が行われます。これらの確認について、これまでは被保険者からの申し立てにより行うことになっていましたが、2018年10月からは申し立てのみによる認定は行われず原則として証明書類に基づく認定が行われることになります。ただし、一定の要件を満たした場合には、添付すべき証明書類が省略できることとなっています。

添付書類 目的 添付の省略ができる場合
1 ・戸籍謄本または戸籍抄本
・住民票の写し(90日以内発行のもの)☆1
続柄の確認 以下のいずれにも該当するとき
・被保険者(従業員)と扶養認定(従業員の妻・子等)を受けるか方のマイナンバ-の記載
・左記書類により、不要認定を受ける方の続柄が届書の記載に相違ないことを「確認」したことを事業主が届書に記載
2

年間収入が「130万(一定の場合180万)未満」であることを確認
できる課税証明書等の書類

収入の確認 ・扶養認定を受ける方が、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養家族であることを確認した旨を、事業主が届出書に記載
・16歳未満の時
3 仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類
・振込の場合・・・預金通帳の写し
・送金の場合・・・現金書留の控えの写し
・16歳未満の時
・16歳以上の学生の時

☆1 被保険者と扶養認定を受ける家族が同居していて、被保険者が世帯主である場合に限る
☆2 障害年金や失業給付等非課税収入がある場合は、受取金額の確認ができる通知書等のコピ-の添付

上記より、被保険者及び扶養者も、マイナンバ-を申告すれば、書類添付の省略は可能とのことです。これは、マイナンバ-により、国が税と社保に対して紐づけが完了したということでしょう。

ただし、マイナンバ-の提出は義務ではなく、従業員個人の意思であるため、提出したくないケ-スも考えられます。
今後、入社時の必要書類として、必ず「続柄」付の住民票の提出を提出させることが必要です。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.10.14

平均賃金の計算方法

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日のテ-マは、「平均賃金」です。

平均賃金は、解雇予告手当や減給の計算などに利用されます。

平均賃金は、原則として発生した日以前3カ月間の賃金総額を、その期間の総日数(暦日数)で除して算定します。
賃金の総額には、【臨時に支払われた賃金、3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金】などは算入しません。
【3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金】の代表例として夏冬に支払われる賞与があげられます。
この計算方法は、通常の月給制の場合ですが、最近各企業で取り入れられている年俸制の場合ですと考え方が異なります。
年俸制の定義はあいまいなため、年俸制の賃金総額の算出には、【毎月払い分と賞与分の合計額】とする場合もあれば、【支払いの合計額から賞与分を除いた額】とする場合もあります。
年俸制については【割増賃金および平均賃金の算定方法】』を定めた解釈例規が存在し、【賞与とは支給額が予め確定されていないものをいう】という過去の解釈例規を引用しつつ、【年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与部分は賞与に該当しない】という考え方となります。
ポイントは、すべての【年俸制】にこの考え方が適用されるわけではないことです。
本来、年俸制というからには、最初に年間の総支払額を決定し、それをたとえば16分割し、各月にはその16分の1、夏冬の賞与時期にそれぞれ16分の2を支払うというケースが多いです。 
しかし、年俸制には法的な定義が存在しないため、解釈の基準はあいまいで、予め年俸額が確定していない場合もあり得ます。
月払いの金額の12倍(か月)を年俸として定め、それとは別に査定による変動幅の大きい『業績賞与』を組み合わせるタイプも、広い意味での年俸制と呼ぶことがあります。 
このような場合は、年俸制対象者の賃金総額の算出は『支払いの合計額から賞与分を除いた額』が基準となります。 
まずは会社の『年俸制』が、賞与を支給する形態の場合に、その賞与額が当初から確定しているのか、それとも予定賞与であり評価等によってその金額が変動する可能性があるのかによって異なりますので、どのように就業規則等で規定されているのか、確認したり、変更したり、作成する必要があります。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.10.07

就業規則で特別休暇を規程するポイント

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日の「テ-マ」は、「特別休暇」です。
特別休暇の種類としては、広く言えば、慶弔休暇、夏季休暇、病気休暇、リフレッシュ休暇などがあります。

しかし、「特別休暇」は、「年次有給休暇」のように法律上の取得義務がなく、会社の任意規定となります。

※「特別休暇」を設ける場合は、就業規則の絶対的記載事項になるため、以下の事項を定める必要があります。

1.特別休暇を取得できる従業員の範囲

 対象となる従業員を決定することが必要です。例えば、勤続6か月以上の従業員や試用期間満了後の従業員など、対象者を限定することです。このように、対象者等を限定する場合は、就業規則で定める必要があります。

2.特別休暇の対象となる事由と休暇日数

従業員の結婚や配偶者の出産、身内の不幸など、特別休暇の対象とする事由は様々です。会社においてどのような事由について特別休暇を設けるのか、また、そのときの休暇日数はどのように定めるのかを検討します。よく問題となるのは、忌引の特別休暇であれば、配偶者や父母・祖父母など、どこまでの親族・姻族を対象とするかというものがあり、これに加え、それぞれ何日まで与えるのか、お通夜やお葬式が会社の所定休日と重なったときには休暇をどのようにカウントするのかといったことまで検討し、就業規則に規程することが大切です。しかし、具体的な対象を明記せず「特別休暇」として、「会社が判断する場合や会社が特に認めた場合」などと明記して、具体的に休日や休みの種類を明記せず、規程する方法もあります。根拠は、従業員が健康で充実した職業生活を送るため、また個々の事情に応じた急な事情や制約が発生しても柔軟な対応が可能であるからです。 当事務所が設計する就業規則は、「特別休暇」「弔意休暇」「夏季休暇」など、あえて、就業規則に「特別休暇」と規程させていただくケ-スが多いです。

3.特別休暇取得時の賃金の取扱い

年次有給休暇を取得したときは、「有給休暇」として「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」等の賃金の支払いが必要です。ただし、「特別休暇」を取得したときの賃金の取扱いについては、会社が自由に定めることができます。一般的に「特別休暇」は、「有給休暇」と同様に「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」として取り扱われることが一般です。しかし、「無給」とすることも会社の任意的規程のため可能です。
最近は、東京オリンピックが2020年に控えており、ボランティア休暇などを新たに設けている会社もあります。
給与明細書上は、「有給休暇」「特別休暇」「弔意休暇」と主に3区分されているクライアントさんが多いです。
ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございます。

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