アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ
2017年12月
2017.12.27
働く人から選ばれない企業にならないための注意点
東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
本年最後の記事更新となります。
当事務所は、12月28日(木)より平成30年1月4日(木)迄、冬季休業とさせていただきます。
休業中もホームページからのお問い合わせは歓迎いたします。1月5日(金)以降、順次ご回答させていただきます。
本題ですが、今般、多くの業種において人で不足は深刻な問題です。そもそも、一昔前と比較し、【終身雇用】に対する労働者の期待は下がっており、転職に対する抵抗感も今後ますます低くなると考えます。私自身も、転職が多い方ですが、面接時や入社後に、「年齢の割に転職が多いですね?」と言われたこともありました。「だからなんですか?」と心では叫んでいましたが、勿論笑ってすませました。
この雇用が流動化する時代に、働く人から選ばれない企業にならないために気をつける点をご案内します。
長時間労働
長時間労働は「選ばれない理由」としての一つです。「働き方改革」「ブラック企業」などの言葉が声高に言われるようになり、長時間労働を是正しない企業スタンスは嫌われてしまいます。採用面接の場でも近年は「残業の有無」「休日」「休暇」などの労働時間に関する確認が応募者からされることが珍しくなくなりました。
長時間労働への対策としては、IT化、不採算部門の見直しがあげられます。
業務の属人化
業務の属人化とは=その人しかわからない仕事がある状態のことを言います。
その人しかわからない仕事があればあるほど、その人(担当者)が辞めてしまうと後任者の対応が大変になり、後任者の業務負荷が増えて疲弊し、退職するという悪循環になってしまう場合が多いです。スタッフが頻繁に辞めないという前提で「業務の共有」を怠っている状態は会社として会社経営として危険です。
属人化を防ぐ方法は、メールの共有、業務チーム担当制、グループウェアの活用などがあげられます。
採用活動の内製
採用サイトや転職サイト、人材紹介、求人誌などの人材サービスのコストは今後ますます高くなることが予想されます。今や多くの企業において人材確保のためにこれらの人材サービスは欠かせなくなってきていますが、雇用が流動化して人々が頻繁に転職してくれた方が人材サービス業にとっては都合がよい側面もあります。人材サービスに頼り続けなければ人が確保できないということは、採用のコスト分、競争力が低下してしまう可能性を否定できません。
採用活動の内製化の方策としては、既存社員からの人材紹介、学校との強化、自社独自の採用イベントなどがあります。
出戻りの許容
最近は、1度退職した社員をもう1度受け入れるという企業の方が人材確保に適しています。退職した理由は、子育て、親の介護、キャリアアップ、年収アップとありますが、出戻りを許す寛大さが必要でないでしょうか。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。
2017.12.24
平成30年度のパータイマーの収入150万円の税の配偶者控除と社会保険被扶養者の関係
東京・渋谷のアリアスと社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士行政書士 郡山博之です。
今年も残すところは、後1週間となりました。
当事務所も年末調整の作業がようやく終了し、年明けに、【給与支払報告書】などを作成し、発送するのみとなりました。
前回の10月の記事で平成29年度の配偶者控除についてご案内しました。
aristo-sr.com/blog/2017/10/
本日は、平成30年度の所得税の配偶者控除と配偶者特別控除についてご案内します。平成30年度は、年収150万円まで働いてもこれまでどおりの配偶者に関する控除が受けられるようになります。
ここで、問題が発生します。それは、税と社会保険から見ると所得税は年収150万円以下に拡がったとしても、社会保険は年収130万円未満のため、仮に年収130万円以上になると、健康保険の被扶養者及び国民年金の第3号被保険者にはなれません。つまり、パートの年収が130万円以上になると社会保険の加入要件を満たさないため、通常、国民健康保険と国民年金に加入することになります。
そこで会社として押さえる必要があるのが以下のポイントです。
ただし、平成28年10月より加入要件が明確になり、「おおむね」という曖昧な表現が削除され、さらに、この4分の3基準を満たしていなくても、以下の5つの要件をすべて満たした場合、社会保険の被保険者になります。これは、平成28年10月より常時501人以上の企業を対象にスタートしたパートへの社会保険の適用拡大の取扱いです。
クライアントさんから、
「従業員の配偶者が会社を退職し雇用保険の基本手当(失業手当)を受給する場合に被扶養者になれるか」
といった質問がありますが、これについては雇用保険の基本手当の日額が、年間の見込み収入額に換算して130万円未満となる3,611円以下である場合にのみ被扶養者となれます。この被扶養者の年間の見込み収入額には、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれる点に注意してください。
2017.12.20
会社の【安全配慮義務】
東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
厚生労働省は2017年11月1日~30日までの1ヵ月間、『過重労働解消キャンペーン』を実施していました。
安全と言えば、労働安全衛生法がありますが、この義務には、従業員の働き方や勤務時間も含まれていますので、過重労働をしなくてはならない職場環境がつくられている場合は、安全配慮義務違反となります。
2017.12.17
賃金引上げ等の実態に関する調査とその用語について
東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。
テレビや新聞などで、賃上げと言われていますが、厚生労働省が平成29年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を発表し、従業員100人以上の企業において定期昇給やベアなどで賃上げを行った企業の割合が87.8%(前年比1.1ポイント増)となり、過去最高となったとのことです。1人当たりの引上げ幅は月額5,627円(同451円増)です。逆に、賃金を引き下げた企業は0.2%だったとのことです。
ここで、賃上げ実態調査や当事務所クライアントさんから質問がある賃金についての「用語」をご案内させていただきます。人事評価制度や賃金規程を設計する際も必要です。
【定期昇給】
【ベースアップ】【ベースダウン】
【賃金カット】
【個別賃金方式】
【平均賃上げ方式】
【業績連動式】
【賃金体系維持】
【1人平均賃金の改定額及び改定率】
【年間臨給(臨時給与/ボーナス)状況】
【1人平均賞与支給額】
【1人平均賞与支給月数】
2017.12.13
Web明細書のメリット
東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の郡山博之です。
この時期は、年末調整、賞与計算、給与計算、クライアント様の2018年度の年間カレンダー作成のアドバイス、一斉休暇付与制度のアドバイスなど、社会保険労務士事務所としては、繁忙期です。
当事務所の給与計算を行っているクライアントさんは、ほぼ100%Web給与明細書を活用いただいています。(一部PDFの給与明細書のクライアントさんもいますが)
Web給与明細書のメリットは、
1.給与の締日と支給日が短い場合(月末締め翌月10日払いなど)で、急な、給与計算の訂正が発生した場合など、給与データーの作成は即作成できますが、もし、一般的な紙の給与明細書ですと、当事務所としても宅急便を利用しても給与日に間に合わない場合があります。また、仮に自社で給与計算をしていたとしても、紙の明細書の印刷などで社員の残業が増加してしまいます。
※一般的な紙の給与明細書は、手差し印刷で、手間がかかります。
一方、Web明細書の場合は、給与のデーターも即作成でき、即、給与明細もWeb上で更新が出来るため、当事務所としてもクライアントさんとしてもメリットがあります。
2.紙の給与明細書に比べて、非常に地球に優しいです。
3.直行直帰の社員や、在宅勤務の社員、全国に支店がある会社など、紙の給与明細書ですと、社労士事務所としても、自社で給与計算をされている場合でも、時間と郵送コストに追われてしまいます。しかし、Web給与明細書の場合は、一斉に全員、パソコンやスマートフォンで給与明細を確認することが出来ます。
4.紙の給与明細書ですと、会社の机の中、自宅の本棚などが、給与明細書で束になってきますが、Web明細書の場合は、当然ですがそのようなことはありません。また、紛失することもなく、2年間閲覧可能です。閲覧だけでなく、PDFのため、自宅のパソコンなどでプリントアウトすることも可能です。
しかし、クライアントさんの社長から言われることがあります。
「手渡しでないと、社員は給与のありがたみがないのでは?」
確かに、それは、一理あります。
また、Web明細化のデメリットは社員の同意が必要なのです。もし、同意されない社員につきましては、クライアントさんの担当者または管理者の管理画面からプリントアウトされ紙の給与明細書を発行することが可能です。
つまり、Web明細書導入の設定をしていただければ、クライアントさんの方で、これまでどおり、書式は変更となりますが、紙の給与明細書の可能なんです。紙の給与明細書は、通常のレーザープリンターでプリントアウト(手差し不要)します。後は、3つ折りにされて、社員にお渡しされているケース、封筒に入れてお渡ししているケースがあります。
当事務所は、事務処理の合理化を推進しています。また、雇用保険・社会保険の入社、退社の手続きも、Webにて電子申請が可能な届出は、100%電子申請にて手続きを行っています。もし、事務処理を今迄通りの紙の届出書で行うと、もっと人員も必要となり、通信交通費など事務所運営コストが上昇するため、比例してクライアントさんの月次料金も上昇せざるを得ないからです。
余談ですが、現在のクライアントさんに、
「前の社労士事務所は、入退社の手続きのために、当社へ来社され、多忙な中、時間をさいていたが、当事務所に切り替えてからは、メール1本で手続き完了してくれるので、非常に利便性がよくあり、無駄な時間がなくなり、助かっている。」
とお言葉をいただきました。
給与計算・入退社手続きのアウトソーシングとWeb明細書のへの移行をご検討の場合は、当事務所へお気軽にお問い合わせください。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございます。
2017.12.10
給与金額を決めるには、月の平均所定労働時間算出がポイント
東京・渋谷のアリスト社労士行政所事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。
給与の額を最低賃金や設定した時給より逆算して、月給を決める場合は、月の所定労働時間を算出する必要があります。
単純に、月給17万円でスタートとして従業員を採用しても、月の所定労働時間を計算すると最低賃金を割っている可能があります。
月の所定労働時間とは?
月平均所定労働時間とは、1年間の合計の所定労働時間を、12か月で割り、1か月あたりの平均の所定労働時間を計算したものです。1年には、31日まである月もあれば、30日や28日(閏年29日)までしかない月もあります。各月の残業代の計算単価にバラツキがないように、【月平均】という考え方をします。
この月平均の所定労働時間を求めるには、以下の整理と手順が必要です。
1.会社の所定労働時間は1日何時間か?
ここで、注意は、1日の所定労働時間や1週間の所定労働時間は、会社の好きなように設定することは出来ません。
法律は、原則、1日の労働労働時間は8時間以内、1週間の労働時間は40時間以内と定められています。
ここで、原則と書いているのは、以下の場合は特例が認められるからです。
※ 商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業で、従業員数が10人未満の事業所は、1週間の法定労働時間が44時間と規定されています。
2.年間の休日は何日か?によって計算します。
(1)まずは、会社の休日が年間合計何日であるかと合計日数を数えます。
(2)次の計算式によって年間所定労働時間を算出します。
「(365日−1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間」=年間所定労働時間
※閏年は366で計算します。
(3)最後に以下の計算式で月平均所定労働時間を算出します。
年間所定労働時間÷12カ月=月平均所定労働時間
(4)月の所定労働時間が以下の計算式の時間を超えている場合は、違法になりますので、ご注意ください。
「1ヶ月の所定労働時間の平均」=40時間/週÷7日×365日÷12ヶ月=173.8時間/月
3.具体例
事例1 1日の所定労働時間が8時間、年間260日勤務 休日105日の場合
(365日−105日)×8時間=2,080時間(年間総労働時間)
2,080時間÷12か月=173.33時間・・・・・月平均所定労働時間となります。
事例2 1日の所定労働時間が7時間、235日勤務 休日130日の場合
(365日-130日)×7時間=1,645時間(年間総労働時間)
1,645時間÷12カ月=137.08時間・・・・・月平均所定労働時間となります。
4.上記より見出せるポイント
(1)単純に一律30万円の給与と固定給与を設定した場合
事例1 300,000円÷173時間=1,734円/時間
事例2 300,000円÷137時間=2,189円/時間
※同じ月給の場合は、月平均所定労働時間が少ない会社ほど時給単価が上昇します。
(2)月給を月所定労働時間ベースで時給にて算出する場合(時給1,000円と仮定)
事例1 1,000円×173.33時間≒173,400円
事例2 1,000円×137.08時間≒137,080円
※休日が少ない方が、月給が高くなります。
(3)上記(1)(2)より、従業員を採用する場合の給与の決め方により、差異が発生しますので、ご注意ください。
余談ですが、東京都の場合は、上記(2)の時給換算の時給が958円未満になりますと、最低賃金法違反になります。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
2017.12.06
就業規則と雇用契約の関係
東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。
本日は、クライアントさんから良くある質問の中で、就業規則と雇用契約の関係です。
例えば、就業規則上、始業・終業時間が9:00~18:00 休憩12:00~13:00で、月給20万円としましょう。
しかし、株式会社Aは、採用するBさんに、以下の雇用契約を打診します。
1案
始業・終業10:00~16:00 休憩12:00~13:00で、月給20万円
2案
始業9・終業9:00~19:00 休憩12:00~13:00で、月給20万円
この場合、1案は、就業規則を上回る雇用契約のため、有効となります。
しかし、2案は、始業終業時間も就業規則時間より長く、就業規則より条件を下回るため無効となり、労働基準法にも抵触します。
休みも同じです。
例えば、就業規則上、完全週休2日制(土・日)と規程されている場合に、株式会社A社は、採用Bさんに以下の雇用契約を打診します。
1案
完全週休3日制
2案
週1休
この場合は、1案は、就業規則を上回る雇用契約のため、有効となります。
しかし、2案は、就業規則を下回るため無効となります。
つまり、
☆就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とされます。この場合において、無効となった部分は、就業規則の定める基準によることとなります。逆に超える部分は有効です。
☆就業規則は、法令(労働基準法など)や当該事業場において適用される労働協約に反してはなりません。
民法は、お互いの合意により契約が成立すると言われます。(公序良俗に反しない限り)
民法の一部でありますが、労働法が特別法であるため、完全に民法上の契約行為と同じようには行かないことがポイントです。日本の労働に関する主要な法律として以下の法律があります。
○個別的労働関係法:個別的な労働関係、労働契約関係についての法律
労働契約法・労働基準法・労働安全衛生法・男女雇用機会均等法・パートタイム労働法・パートタイム労働法・育児介護休業法・最低賃金法
○集団的労働関係法(労使関係法/使用者と労働組合との関係についての法律)
労働組合法・労働関係調整法
○労働争訟法(個別的労働紛争の簡易な解決を目指す法律)
労働審判法
○労働市場法(労働市場の規制に関する法律)
職業安定法・雇用保険法・労働者災害補償保険法・労働者派遣法
などがあります。一般に周知されて馴染みがあるある関係法令から、こういう法律もあるんだ?と言うくらい幅広いですよね。
最近、就業規則や労働基準法には抵触しないけど、民事上どうか?という問題も多くなっているようで、労務管理が益々厳しくなっている時代だと思います。必ずしも、就業規則に規定しているとか、雇用契約書に明示しているから安心だ!大丈夫だ!という時代ではなくなっているのかもしれません。書面だけではなく、実態上どうか?が大切です。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございます。
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