アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2017年11月

2017.11.29

労働契約法第20条【同一労働同一賃金】

 東京・渋谷区のアリスト

「同一労働同一賃金」についての条文である労働契約法第20条の話題です。

同一労働・同一賃金というブームに対して、実は「公平性」ではなく「ハイパフォーマーの優遇」ではないかと考えます。公平さというのは一筋縄ではいかない概念で、働いているのが人間であり個性がある以上、全ての面で公平な処遇というのはできないものです。
そして従業員間の公平性は企業の目的ではなく継続勤務をしてもらうため(あるいは労使トラブルを防ぐため)の手段の一つであるので、「公平さの実現」については、ピンとこない経営者が多いのではないかと思います。
賃金はつまるところ経営理念に照らして公正であるべきで、同一労働同一賃金のポイントは、
「我が社が重視している行動は○○である」
「我が社ではこのタスクを評し△△△△円という価格をつける」
「会社の経営目標達成に必須のタスクを行うことができる人の評価を優遇する」
と意思表示をすることだと思います。
そして、再度、会社のビジネスモデルを分析し経営目標達成に必要なコア業務を特定したりそのコア業務に対する評価体系や職務給を設定したりし、人事評価制度や給与テーブルをまずは、見直すことが大事だと考えます。
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2017.11.26

職業安定法の改正について(平成30年1月1日施行)

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

11月も残すは、1週間となり、いよいよ師走に入ります。
再来月より、職業安定法が一部改正されます。

○求人や労働条件を変更する場合の明示義務です。

具体的に、求人募集の際に、最低限明示されねければいけない事項

(1)試用期間

(2)裁量労働制を導入している場合
具体的に、【9時間働いたものとみなされる】などを明示する必要があります。
裁量労働制導入であっても、1日8時間、1週間40時間のルールは適用されますので、基本給などを設定する場合は、予め、そのルールも考慮し、設定しないと、最低賃金が割れるリスクがあります。

(3)固定残業制度を導入する場合
以下のような記載が必要です。
① 基本給××××××円(②の手当を除く額)
② 固定残業手当やみなし残業手当(時間外労働の有無に関わらず、○○時間分の時間外手当として△△△△△円を支給)
③ ○○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

(4)募集者の氏名又は名称

(5)派遣労働者として雇用する場合

と定められます。

具体的に労働条件変更の際に明示が必要な事項

(1)「当初の明示」と異なる内容の労働条件を明示する場合
例)当初 基本給30万円/月 ⇒ 基本給25万円/月

(2)「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初 基本給25万円~35万円/月 ⇒ 基本給30万円/月

(3)「当初の明示」の労働条件を削除する場合
例)当初 基本給30万円/月、住宅手当5万円/月 ⇒ 基本給30万円/月

(4)「当初の明示」で明示していなかった労働条件を後から追加する場合
例)当初 基本給30万円/月 ⇒ 基本給30万円/月、住宅手当5万円/月

【明示の方法】

1.当初明示されていた内容と変更された内容を対照できる書面の発行
2.労働条件通知書によって、下線をひいたり、着色したりして脚注をつける方法

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2017.11.22

在宅勤務のメリットと導入手順

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日は、在宅勤務のメリットと導入手順について記事を書いてみます。

在宅勤務のメリットとは?

1.労働者側のメリット
①静かな労働環境で集中できる
②通勤時間がなくなる分、家族と過ごす時間が増える
③育児・介護と仕事を両立できる
などです。

2.企業側のメリット
①優秀な人材の確保と定着率の向上
柔軟な働き方を会社が提供することで人材の流出を防ぐことが出来るほか、優秀な人材が集まりやすくなります。
②電子化や業務改善の促進
在宅勤務の導入をきっかけに【資料の電子化】が促進されます。また、在宅できる業務・出来ない業務を切り分けて見直す過程で業務改善につながります。
③非常時の事業継続
震災などでオフィスが被災したときや交通機関が麻痺したとしても、事業を継続することが可能です。

導入手順

導入手順は、ルールづくりからはじめます。
1.対象者の選定
例えば、育児や介護をしながら働く社員のみ対象とする。あるいや、新入社員や製造部門など、一人で業務が出来ない社員以外は対象とする。
2.労働時間の管理
PCに遠隔機能を設置し、実際に業務をしているか否かのシステムの導入。始業終業時間を管理者へメールで送信。など
3.給与体系や評価体系の見直し・策定
給与や評価基準は、現状を維持した方がいいかと考えますが、会社に出社しないと出来ない業務もあります。在宅勤務の頻度によって、定期代を支給するか、実費を支給するかなどの検討が必要です。
4.備品などの費用負担
備品の費用負担、水光熱費の負担などの取り決めが必要です。3.給与体系とも連動しますが、例えば、在宅勤務手当として一律支給することも検討の人るです。

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2017.11.19

使用期間中の給与は減額可能か?

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

昨夜から風が強く、急に気温が下がりましたね。温暖化と言いますが、本当に温暖化なんでしょうか?単純にここ数年、異常気象になっているなと、感じます。

さて、本題です。他士業の方の事務所便りに出ていましたが、試用期間中の給与の減額は可能か?

私も当事務所のクライアントさんも以下のようなことを感じたり、相談されるケースがあります。

・求人媒体に費用をかけてどうにか採用できたけれど、期待したほど仕事はできない。 
・もう少し給与を安くすればよかった。 
・もしくは今後、試用期間中は給与を減らしたい。 
ここで、試用期間中の給与減額ですが、相談された場合、「結論から言えば試用期間中は給与の減額が可能です。」と回答させていただいています。
ただし、使用期間中だから、給与は、いくらでも設定出来るというわけではありません。都道府県別に決められている【最低賃金】を下回らないことが必須です。【最低賃金】を下回らければ、会社と労働者との合意のうえで、試用期間中の給与を低く設定することが可能です。いくらでも設定可能です。 ただし、就業規則や労働契約書にその旨を明記する必要があります。
月次給与30万円
※だたし、試用期間中3か月間は20万
試用期間というのは、一般的に入社後一定期間を試用期間または見習期間とし、この間に労働者の人物・能力を評価して本採用をするかしないか決定するものとして設けていることが多いです。ただし、1年以上の期間設定は、裁判で不当と判断された判例があります。一般的には、1~3か月が多いです。 さらに、試用期間中だからといって、経営者の中には、解雇が自由にできると誤解されているケースがありますが、自由ではなく、法律の制限がありますので、要注意です。


(参考条文)
労働契約法第6条(労働契約の成立)
労働契約は、労働者が使用者に使用され労働し、使用者はこれによって賃金を支払うことについて、労働者と使用者が合意することによって成立する。


【最低賃金】の例外ですが、試用期間中に、最低賃金よりも低い金額に設定されたい場合、都道府県労働局長の許可があれば、最低賃金より最大で20%まで減額することができます。 
ただし、厚労省の中央最低賃金審議会で示された統計資料においては、試用期間中の減額特例の許可件数に関して、ゼロの年も少なくありませんでした。 この許可は、かなりハードルが高いと言えます。
具体的に最低賃金とは? 
最低賃金は2種類あります。 
各都道府県ごとに定められた【地域別最低賃金】」と、特定の産業に定められた【特定最低賃金】です。

 
【地域別最低賃金】

【特定最低賃金】

【地域別最低賃金】とは、各都道府県で働く全ての労働者とその会社(使用者)に対して適用される最低賃金です。 
47件の各都道府県ごとに最低賃金が定められています。 
産業や職種による制限はなく、正社員・契約社員・派遣社員・臨時・嘱託・パート・アルバイトなど、雇用形態や呼称に関係なく、働く全ての労働者と会社(使用者)に適用されます。 
【特定最低賃金】は、特定の産業について設定されている最低賃金です。 
基幹的労働者を対象として、【地域別最低賃金】よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められた産業について、設定されます。


今回は試用期間中という条件なので産業別の【特定最低賃金】は適用されず、【地域別最低賃金】が基準となります。
このように試用期間中の給与の減額は可能ですが、労働者との合意による賃金の設定・期間の設定・就業規則や労働契約書への記載といった注意点があります。


試用期間中の給与の減額は、現実的には難しいケースが多いと思います。また、最近の人手不足の時代、期待した能力以上に給与を支払わざるを得ないこともあるようです。
まずは、求人募集の前に、現状の人員で業務を効率運用することを考え、これを実践したり、アナログ作業があれば、可能な限りIT化への移行、アウトソーシングなど検討する必要があります。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございます。

2017.11.15

5Sについて

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

先週の土曜日ですが、私の母校の日本大学出身の社会保険労務士の会である日本大学社労士桜門会に出席しました。
その会で、経済学部の教授の講演会がありまして、テーマは「5Sと経営戦略」でした。

5Sとは、

・整理:要るものと要らないもの区別

・整頓:要るものを使いやすいように

・清掃:要るものを最高の状態に

・清潔:上記を維持した状態

・躾 :上記の状態を維持する人間

を指します。講演会の中で、5Sを徹底することにより、製造業や倉庫業などは、業績が増えた実例もあるとのことです。

私は、月曜日に出社した際、早速掃除から始めましたが、三日坊主にならないよう継続をさせようと思います。

ただし、ここで労務管理上一番、話題となることは、
「始業時間20分前に、出社命令をし、社内清掃をさせた場合にこの時間は、就業?か否か?」

勿論、就業時間となります。もし、この社内清掃時間に、何ら残業手当などを会社が支払わない場合は、残業代未払いとなりますので注意が必要です。

従って、始業開始10分間などと、あくまでも終業時間内に社内清掃時間を設けられたらいかがでしょうか?

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2017.11.12

「残業代と基本給を明確」に区別が重要

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日のテーマですが、【年俸制】の場合、残業代が不要と解釈されている企業も多いです。
じかし、【年俸制】であっても、実は、残業代が必要なんです。

労働基準法によると年俸制だからという理由で残業代の支払いを免除するという条文はありません。高収入の人には残業代を支払わなくてもよいという条文もありません。

月給や年俸に残業代を含めて支払うことは許されますが、その場合は、残業代の部分いくらで何時間分に相当するのかを明確に表示する必要があります。

しかし、過去の判例では、年俸が3000万円超と極めて高額であったことなどから、残業代の部分が明確に示されなくても労働者の保護に欠ける点はないとして、残業代が含まれていると認めた判例はあります。

詳しくは、当事務所にお問い合わせください。

ここまで、ブログを読んでいただきありがとうございます。

2017.11.08

働き方改革を自社に取り入れるには

 東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

全国的に「働き方改革」の取り組みの必要性が説かれています。残業の抑制、ワークライフバランスが社会的評価に少なからず影響するため、世間のキャンペーンを参考に前向きに実行することに価値はあることだと考えます。

その中で通勤ラッシュ回避のための取り組み例として「時差出勤」、「フレックスタイム制」、「テレワーク」などがあります。鉄道事業者では、「混雑の見える化」、「オフピーク通勤利用者へのポイント付与」などの取り組みが進んでいるようです。

取り組み事例 内容
時差出勤 始業時刻を早めたり遅らせたりすること
フレックスタイム 始業・終業時刻を社員に任せること
テレワーク 在宅などで勤務すること

これらの取り組みをすることで、①満員電車や通勤渋滞で疲弊しない→②ストレスを軽減し生産性を向上させる→③余裕が生まれてより自由度の高い働き方が実現する、という好循環が生まれます。

実際に運用するには?

「習慣や慣習にある【無駄】を【価値】に転換する」点にあります。習慣(個人が慣れ親しんだ行動パターン)や慣習(集団や業界が常識として従う暗黙のルール)の中には無駄があり、それは考え方によってプラスに転換できる可能性があります。

 この「習慣・慣習にある無駄」という観点で職場を見てみると、次のような考え方ができるかもしれません。

習慣・慣習 無駄の可能性
9時に始業する 通勤ラッシュに巻き込まれ、身体が疲労し、作業のパフォーマンスが落ちる
12時に昼食をとる 混んでいる飲食店に並んで、無駄な時間を過ごし、ゆっくりと体を休めることが出来ない。
夜遅く酒席に参加する 翌日の朝の二日酔いや体のけだるさが生じる時間
通勤する 通勤時間や通勤定期代
社内の稟議書や報告書 書類作成や書類整理、書類をまとめる行為が目的化し、実行が遅くなる
電話をする 作業が中断し、集中力が継続しない。ミスが発生する。
メールの挨拶文 丁寧に毎回入力する時間
書類の保管 保管スペースの無駄遣い

自社内で当然のように行っている慣習について、見直すべき項目がないか、社内で意見を出し合い、検討してみては、いかがでしょう。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございました。

2017.11.05

懲戒解雇と労基署の認定について

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

3連休も最終日ですが、中日の夕方以外は、行楽日和ですね。
私は、遠出はせずに、近場をサイクリングやドライブをしています。

さて、本題です。会社には懲罰委員会を設置されている場合があります。その懲罰員会で、例えば、11月30日を解雇とする決定が出た場合、労基署の認定を待たないと解雇が出来ないのか?否か?
結論からは言えば、労働者の責に帰するべき事由がある場合、解雇自体可能です。ただし、認定が出るまでに解雇をしても、その後認定が出たときは、その処分は申請の時にさかのぼって効力を発生することができます。
(通達 昭和63・3・14基発150号) 

万が一、労基署の認定が受けられなかった場合には、即時解雇としては無効ですが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、30日の期間を経過するか、解雇予告手当を支払ったときに解雇の効力が生じます。この場合、即時解雇の意思表示以降、解雇の効力が発生するまでの間は、使用者の責に帰すべき事由による休業として、労基法第26条の休業手当の支払いを要します。

【労基署の認定が必要な要な解雇事由】

1. 天災事変のため事業の継続が不可能となった場合
2. 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合

解雇は、次の種類があります。

1.普通解雇
2.懲戒解雇
3.論旨解雇
4.退職願等の提出を勧告し、即時退職を求める論旨退職に応じない場合に、懲戒解雇をするといった取り扱い

しかし、労働基準法ではこれらの種類では区別されておらず、解雇に関する規定が適用されます。
その規定が、解雇制限(19条)や解雇予告義務(20条)です。 
20条によると、解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告をしない使用者は、解雇予告手当を支払わなければならないとしています。また予告と手当を併用する形(20条2項)もあります。
この予告は次の者には、適用されませんので留意ください。
1.日々雇いいられるもの
2.2か月以内の期間を定めて使用されるもの
3.季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用されるもの
4.使用期間中の者
※ただし、使用期間中の場合であっても、14日を超えて引き続き使用された場合は、予告の適用があります。
予告の例外として、「労働者の責に帰すべき事由」に基づいて解雇する場合には、この限りではないとしています。
(予告不要)ここで、予告の適用が除外されます。
つまり、行政官庁(労基署長)の認定を受け、(20条3項)「労働者の責に帰すべき事由」に基づいて解雇する場合には、予告期間30日を待たずに、手当も支払わずに即時解雇ができます。 
この「労働者の責に帰すべき事由」かどうかの判定基準は、従業員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、基準に照らし、使用者、従業員の双方から直接事情等を聴いて認定するかどうかを判断するとされています。(通達 昭和23・11・11基発1637号) 
ここまで当事務所のブログを読んでいただき、ありがとうございました。

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