アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ

2017年08月

2017.08.23

人ごとでない「パワハラ問題」

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の郡山博之です。

ここ数日、東京はやっと天気が夏に戻ってきました。
少しほっとしています。

さて、先月迄、マスコミをにぎわせたパワハラ問題。
国会議員が秘書に対して行った暴言が録音され世間に好評される事件は、世間でパワハラが大きく注目されるきっかけになりました。手軽に録音や録画ができる現代では、パワハラの証拠として上司の言動を記録することが簡単にできます。

このをきっかけとして「自分も録音をしようか」と考えた人もいるかもしれません。トラブル予防のため、パワハラとは何か、どんな問題があるかについてご案内します。 

パワハラの定義

厚生労働省は、職場らのパワーハラスメントについて以下のように定義しています。

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の定期性な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは、職場環境を悪化させる行為

具体的には、次の6類型を典型例とされています。

身体的攻撃 暴行・障害
精神的な攻撃 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
人間関係からの切り離し 隔離・仲間外し・無視
過大な要求 業務上明らかに不用なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
過小な要求 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
個の侵害

私的なことに過度に立ち入ること

議員の何が問題だったか

今回の議員は、「容姿を非難した行為」「大声で恫喝した行為」が精神的な攻撃に、「運転中に暴力を振るった(らしい)こと」が、身体的な攻撃に当たるとおもわれます。その他、過大な要求行為もあったのかもしれません。いずれも「議員と秘書」という職場内の優位性を背景として行われたことであると考えると、パワハラ行為といえそうです。しかし、最も大きな問題点は、「暴言を録音され暴露されるという報復」を受ける可能性を議員が予見し、自己を抑制できなかった点にあるのではないでしょうか。「パワハラの定義」を知らずとも、人格を否定するような暴言や暴力を続ければ相手を精神的に追い詰めてしまうことは予見できるはずで、追い詰められた人間が直接的に、あるいは間接的に報復をする心情になることもまた予想しなければならなかったのでしょう。

今回の事件から職場の教訓

報道されている内容は物事の一部を切り取っているに過ぎず、実態はわかりません。議員に同情する余地があるほど当該秘書の職務能力に問題があったのかもしれませんし、議員に「指導熱心で思いやりがある」ポジティブな側面もあったのかもしれません。しかし、いったんパワハラ事案が発生してしまうと、職場全体の士気が下がったり、労働者との紛争が発生したりと、その解決に時間と労力と金銭を要します。

パワハラ行為への報復として、「録音された言動をSNSで拡散される」という信用ダメージや、「裁判を起こされる」「傷害事件として刑事告訴される」などの紛争が起こる危険性があることにまずはしっかり留意し、「相手に敬意を払い、イライラしてもグッと我慢して冷静に話すこと」を心がけてください。

ここまで弊所のブログを読んでいただきありがとうございます。 

2017.08.20

定年後の再雇用にも有期雇用の無期転換制度は当てはまるか?

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の郡山博之です。

先週までは、世の中お盆休みのためか、電車が空いていましたね。毎日、これくらい電車が空いていたら、通勤も楽なのになと思いました。しかし、関東地区は、8月に入って、毎日雨が降り、天候の影響により、農作物の高騰が危惧されます。

さて、前々回のブログで有期雇用契約者に対しての平成30年問題「無期雇用契約への転換」をご案内しました。
もともと、有期雇用契約となっている若年層に配慮して、この制度は生まれました。 
最近、就業規則作成のご依頼や見直しの中で、60歳以降の継続雇用契約や定年の件で質問・相談を受けます。
通常は、65歳までの1年更新で規定することが多いですが、まれに、
「弊社は、70歳まで大丈夫だから、65歳までではなく、70歳まで継続雇用契約制度を認めてもいい。」
と言われる場合があります。
ここで、問題となるのは、定年退職後の継続雇用者が無期雇用契約への転換を求めた場合です。 
60歳で定年退職した方が1年更新の有期雇用契約として雇用を延長し続けていると、5年経過後には無期雇用契約に再度戻す必要があると考えられるからです。 
この点については、就業規則等で再定年を設定するなどの対応が必要といわれています。
さらに、無期転換の申出・申込のタイミングによって、制度設計の仕方や契約内容の内容を変えないといけません。 
具体的には以下3つの検討が必要となります。 
1.定年年度よりも前の段階で無期転換の申し込みがされた場合や定年年度かつ定年以前の段階で無期転換の申し込みがされた場合の定年および定年退職日 
2.定年を過ぎて定年退職日までの間に無期転換の申し込みがされた場合の申し込みの有効性と定年退職日の再設定の要否
3.再雇用期間中に無期転換の申し込みがされた場合の定年後の再雇用特例適用の可否 。70歳まで継続雇用制度を活用とすると、運用を取り決めないと発生しうる問題です。


厳密に、就業規則や雇用契約書で明確に規定する必要があります。

平成30年から実際の転換が始まりますので、今後の事例の集積が待たれます。この集積された訴訟等の事例を勘案し、十分な制度の設計が必要だと考えています。
1度、就業規則や雇用契約書を見直ししても、万全ということはありません。訴訟等などの事例を勘案し、常に見直しが必要となってきます。
就業規則や雇用契約書など労務管理は、弊所へご相談ください。
ここまで、弊所のブログを読んでいただきありがとうございます。

2017.08.16

長時間残業やサービス残業の問題とリスク

東京・澁谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 郡山博之です。

本日まで、お盆休みの企業様も多いでしょうか?
しかし、8月に入ってから関東は雨、曇り。
私は、暦通りに仕事をしていますが、この天候に毎日うんざりしです。

長時間労働やサービス残業。報道でよく取りざたされていますね。
経営者の方は、
「ある程度は仕方ないし、従業員も納得している」
「法律どおりにやってたら、現場ではまわらない」
『これまでもそうしてきたから』
と言われるケースがあります。
しかし、長時間労働に関する労災事件などがニュースで毎日のように報道され、労基法違反企業名も公表されるようになり、誰もが頻繁に、簡単にニュースなど、情報を得る機会が多い世の中です。
また、残業の上限時間や高度専門業務に終業する方を対象とした「残業代ゼロ法案」についても法改正がなされる流れにあるなど、長時間労働やサービス残業に対する法規制も厳格化しています。
では、社員が、長時間労働が原因でうつ病などになり、働けなくなったり、またはお亡くなりになったら、どういうリスクが発生するか?
○うつ病などの精神疾患について、厚生労働省は、労災の「業務上の災害」に認定する基準を定めています。
その基準は、残業時間により下記の通りです。
80時間超  ⇒ 労災として認められやすい
100時間超 ⇒ かなり高い確率で認められる
160時間超 ⇒ それだけで労災認定される
○労災として認められると、「長時間労働を原因とする安全配慮義務違反」の民事上の損害賠償請求が会社に対して行われることが多くなります。
一般的に、労災の認定で給付がされたとしても、労災保険ではカバーされない範囲があります。
具体的なものとしては、
☆慰謝料
☆逸失利益(将来稼いだであろう収入相当額)
その額は、年齢や年収によって決定されますが、賠償額が億単位となることもめずらしくありません。
数千万~億単位の賠償となれば、それだけで会社の存続ができなくなります。
民事は金銭の問題ですが、労基法違反はそれに留まらず、刑事の問題にもなりえます。処罰の対象は、会社のみならず、
個人に対してもあります。社長だけでなく、役員、人事の担当者、現場の時間管理者などもありえます。
会社の方針、指示でやっていたことだから、自分は関係ないと簡単には責任逃れできません。
長時間労働やサービス残業など今までとやり方を変えることは大変です。
目先の売上や利益が減るかもしれません。
しかし、このご時世だからこそ、人員配置や勤怠管理、就業規則の見直し、公平な人事制度の導入などを検討する時期かもしれません。
ここまで、弊所のブログを読んでいただき、ありがとうございます。

2017.08.12

労働契約法の平成30年問題について

東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の郡山博之です。

ここ最近の関東は、梅雨に逆戻り。昨年もそうですが、最近の8月は、夏らしくないですね。
世の中は、お盆休みですが、どこに出かけても渋滞・人が多いということで、自宅でのんびり過ごしています。

さて、本題です。弊所のクライアントさんでも、1年更新の契約社員を雇用されていまして、この平成30年問題に真剣に取り組まれています。

平成30年問題とは?

平成25年4月に労働契約法が改正され、有期労働契約を更新し通算5年を超えた労働者から無期雇用転換の申し込みがあった場合は無期転換しなければならないルールとなりました。平成30年4月に改正法施行から5年が経ちますので、初めてこのルールによる無期雇用転換申し込みの可能性が発生します。

法律の内容について

平成25年4月1日以降に有期契約を開始又は更新している場合に、通算5年を超えた段階で労働者から申し出があった場合、無期雇用転換をしなければなりません(希望がない者を転換する義務はありません)。転換後の労働条件は、他に定めがない限り直前の有期契約時と一緒にするのが原則です。

本人からの申込みにより、契約期間の途中で無期雇用に転換しなければいけないわけでなく、次の契約更新のタイミングで無期契約転換をすれば事足ります。ただし、途中に「契約のない期間が6ヶ月以上」ある場合は、前後の有期労働契約は通算されず一旦リセットされます。
無期雇用転換は危険か
無期雇用転換をしたからと言って、どんなことがあっても継続して雇用しなければならないわけではありません。長く在籍してもらうことが前提ですが、他の正社員同様、就業規則等でルールを定めてあれば、職種の変更をしたり、服務規律違反などの問題行動に対して減給などの懲戒処分をしたり、経済事情により止む無く解雇したりすることは不可能ではありません。
契約社員を無期雇用転換することで労働量の調整がしにくくなる点は否めませんが、たとえ契約社員であっても、契約を数年に渡り複数回更新している人を雇い止めするには、事前予告など解雇に準じた配慮と雇い止めの合理性に対する説明努力が必要となります。無期雇用転換が著しく経営リスクを高めるとは限らないのではないでしょうか。
対策1: 雇い止めをする対象者への説明
能力や適性、経済的事情などの理由で無期雇用転換をしないことが決まっている場合は、今年度の契約において「次は更新しないこと」又は「更新しない理由」を期間満了の30日以上前までに伝えてください。その際、「契約更新をされる人」と「更新をされずに雇い止めになる人」の両方がいる場合は特に配慮が必要です。労働者側は「公平性」に対して特に敏感に反応をしますので、『単なる好き嫌いでなく、仕事上の能力や職種、人員配置上合理的な理由がある』ことをきちんと説明できるようにしておいてください。
対策2: 助成金の活用
この法改正をきっかけとして有期契約労働者の無期転換化を先行して推し進め、助成金の受給を狙うことも検討できます。キャリアアップ助成金など、無期雇用転換の取り組みに対する助成金も検討材料に加えると良いでしょう。
ここまで、弊所のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
 

2017.08.06

残業代計算と計算から除く手当について

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 郡山 博之です。

8月に入り、東京地区は、夏らしい灼熱の太陽がなく、雨や曇りの日が続いています。
先々週から、弊所も、業務が増えてきて、職員を募集していましたが、無事に職員さんに内定をだし、弊所にご入所いただくことになりました。弊所の戦力として、頑張っていただきたいです。

さて、本題ですが、弊所のお客様から、よく、質問がある労務関連についてです。このブログを読んでいただいている経営者も、再度、ご確認ください。

残業代(割増賃金)計算の基本について

法定労働(1日8時間・1週間40時間)を超えた残業については、時給単価に25%の割増賃金を支払う必要があります。
例:
時給が1,000円の従業員の場合、1,250円

法定内残業分(1日7時間の始業・終業時間の場合など)の残業代については、就業規則や労働契約等において、特段の就業規則上の定めがない場合は、割増無しの「時給単価(例:時給1,000円)」で計算します。

深夜22時から翌日の午前5時までの時間帯に残業して労働した場合には、時給単価に50%以上の割増賃金を支払う必要があります。また、残業ではないけど、交代制などで、労働ずる場合は、時給単価に25%以上の割増賃金を支払う必要があります。

残業代(割増賃金)の計算から除く手当は?

一般にちんぎんには、業務内容と関係なく、個人的な事情や属性に基づいて支払われる手当があります。労働基準法では、割増賃金から家族手当、通勤手当などは、除くと言う規定があります。
時給単価から除外される賃金

●家族手当    ●通勤手当
●別居手当    ●子女教育手当
●住宅手当    ●臨時に支払われた賃金
●1カ月を超えるごとに支払われる賃金

※上記に該当しない手当は、全て割増賃金の対象になります。また、上記の内容に該当しても、割増賃金の対象となる場合がありますので、詳しくは、弊所に、お問い合わせください。

残業時間の単位は?

割増賃金の計算は、原則として、毎日の時間が労働時間を1分単位で正確に計上するのが正しい残業管理です。労働時間の端数計算を、四捨五入ではなく常に切り捨てで計算することは、認められていませんので、ご注意ください。

ここまで、弊所のブログを読んでいただきありがとうございました。

お電話でのお問合せ、初回相談無料03-6300-4902

アーカイブ

Copyright (C) アリスト社労士事務所 All Rights Reserved.

渋谷区・港区・新宿区などの社会保険労務士(社労士) 就業規則・給与計算代行・労務相談は、アリスト社労士事務所にお任せください。給与計算の代行(Web明細書) 労働・社会保険手続きや人事相談・労務管理をはじめ、労基署調査対応や就業規則の作成・変更などのサービスをご提供しています。