アリスト社労士事務所(港区・渋谷区)のブログ
2017年02月
2017.02.09
よくある質問!「法定休日」と「所定休日」の違いについて
東京港区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の 郡山 博之です。
最近、残業時間の話題がTVでも報道されますので、本日は、休日出勤に対してご案内してみたいと思います。
事例方式で、ご案内しますが、実は、私自身、会社員時代、誤解していたことです。
休日出勤は、土曜日・日曜日双方に、3割5分の休日割増がつくと誤解されやすいです。
会社が休みである土曜日に出社することにしたA君。それなのに、B課長からは休日手当なんか出ないと言われてしまいました。
そこで、そもそもこの場合の「休日」とは、どのような日を指すのかです。
例えば、A君が勤務する○○株式会社の就業規則では、
「1.毎週土曜日・日曜日、
2.国民の祝祭日、
3.夏期休暇、
4.年末年始休暇」
が休日であると定めています。
労働基準法では、労働者に対して「毎週1日」または「4週間に4日」の休日を与えなければならないと定めており、この「休日」を「法定休日」と呼んでいます。○○株式会社は毎週土・日曜日が休みの、週休2日制をとっています。そのうちの1日は、この「法定休日」に当たりますが、もう1日の休みは会社が定めた休日であって「法定休日」には該当せず、「所定休日」と呼んで区別されます。この違いを、理解ください。
もちろん、「法定」であれ「所定」であれ、「休日出勤」をしたことには違いありません。
「所定休日」と「法定休日」とでは、手当の金額は、異なるのか?
B課長の言葉の意味は?
「法定」「所定」の違いのことです。
休日出勤をした場合、労働基準法では、「3割5分以上」の率で計算した割増賃金の支払いが必要であるとしています。ただし、これは「法定休日」に働いた場合に限ります。
A君は土曜日に休日出勤をしましたが、翌日の日曜日に休めるのであれば、「1週間に1日」の法定休日が確保されます。
したがって、土曜日は「所定休日」での労働となるため、3割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いは不要となり、「休日手当は出ない」というB課長の言葉に誤りはなかったのです。
しかし、A君が月曜日から金曜日まで普通に働いた上で土曜日も出勤したとなると、一つ問題があります。
○○株式会社の1日の労働時間が8時間とした場合、その週にまったく残業をしなかったとしても、金曜日に仕事を終えたときには、すでに1週間の労働時間が40時間(8時間×5日)になり、「1週40時間」という制限(法定労働時間)に達しています。
ということは、土曜日に仕事を始めた時点で週の労働時間が40時間を超えることになり、その時間は時間外労働に当たります。
したがって、この場合、休日労働に関する割増賃金は不要であっても、時間外労働を行ったことに対する「2割5分以上」の率で計算した割増賃金の支払いが必要になるのです。
A君の給料の1時間単価を1000円とした場合、土曜日に8時間働いたとすると、時間外手当を含めて「1000円×1.25×8時間=1万円」の賃金を支払う必要があります。
このように、今回の○○株式会社のケースでは、「休日手当」という名目では手当がつかないものの、土曜日に働いた分に関しては時間外労働についての割増賃金がつく形となります。
ここまで、弊所のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
2017.02.02
在宅ワーク導入で得るもの・失うもの
東京・港区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 郡山 博之です。
1月もあっという間に過ぎてしまい、2月に入りましたね。
本日は在宅で仕事をすること=在宅ワーク(テレワークともいいます)の導入について、政府は、多様な働き方を認め、ワーク・ライフ・バランスを進めるために、選択肢のひとつとしての在宅ワークを推奨しています。しかし、実際に導入に踏み切る企業はまだ多くありません。実際に在宅ワークを導入したら企業にどのような影響があるかについてご案内します。
対象職種
在宅ワークの導入対象は広く、「パソコンとインターネット環境があればできる職種」はすべて在宅で働くことを検討できます。お店で接客などサービスを提供する職種には向きませんが、サービス業であっても人事、財務、法務、庶務などの間接部門は在宅で業務を行うことができるでしょう。
初期導入コスト
在宅ワークをはじめるためには、初期導入コストとして以下のものが挙げられます。
パソコン本体は個人で持っていることも多いですが、業務使用のものとプライベート使用のものを分けるために別途購入して会社が貸与するなどの工夫も必要です。会社と自宅を接続するために「リモート接続」「VPN接続」などのネットワーク環境を整えること、情報漏えいリスクを軽減するためのセキュリティ対策やタスクの管理や勤怠管理のためのソフトやシステムも必要です。
メリット
在宅ワーク導入の企業メリットとして次のようなものが
あります。
【1.採用メリット】
在宅ワークを導入することで、「働きたいけれど育児や介護、通勤困難などの事情で働けない人たち」を求人対象とできます。出産・育児のため長時間の通勤を伴う仕事を断念している人の中には、大手企業などで相当の教育を受けた経験を持つ人材も眠っているため、教育コストを下げる効果も期待できます。
【2.コストカット】
通勤にかかるコストを下げることもメリットのひとつでしょう。通勤コストには、定期券や駐車場代などの直接的なコストのほか、満員電車や長時間の移動で疲労するコストも含まれるでしょう。その他、オフィス省スペース化によるコストカットなども在宅ワーク導入によって実現するかもしれません。
【3.定着メリット】
企業内に在宅ワークという選択肢を設けることで、結婚、妊娠・出産、育児、介護、移住など、社員が人生の転機を迎えたときにも継続勤務の可能性を広げます。優秀な人材の離職を防ぐうえでも効果が期待できます。
デメリット
一方でデメリットとしては以下が挙げられます。
1.会社への帰属意識が薄くなる
2.監視するためのコストが増える
3.直接先輩から後輩に教えることができないためOJT教育の精度が下がる
これらのデメリットを克服するためには、定期的に出社義務を設けたり、業務を定量評価する仕組みを整えたりといった工夫が必要かと思います。
しかし、これまでのような、経営と将来に向けての経営は、ことなると思います。
特にコストカットのメリットの方が大きいと思えます。これからは、必ず、出社して退社時間まで拘束されるのことのない、自由な働き方も業種によっては、必要と考えます。
ここまで、弊所のブログを読んでいただきありがとうございます。
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