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2018.02.25

通勤費と労災及び不正受給について

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本日のテーマは、【通勤費】【労災】【不正受給】のことについてご案内します。

【通勤費】とは?

そもそも、会社は必ず通勤手当を払う義務があるのでしょうか?
労働基準法などで、会社は従業員が通勤するための交通費を支給しなければならないと規定されていません。従いまして、法律上、会社は通勤手当を払う義務はありません。原則は、従業員の自己負担となります。通勤費は、就業規則や給与規定などで通勤手当を規定していますが、その規定により会社は通勤手当を支給する義務が発生します。しかし、通勤手当を支給すると決めた場合であっても、実際にかかった交通費の全額を支給するか、一部だけ支給するかは会社の自由の判断となります。会社の規定のなかで「実費を支給」としていれば全額を支給することになりますし、上限1万円/月などと決めていれば全額または一部を支給するということになります。また、1ヵ月・3カ月・6か月など、自由に会社の規定で定めることが出来ます。ただし、3カ月や6か月の長期のメリットは、社会保険料の負担を抑えることが出来る可能性がありますが、デメリットとして、定期を購入しても、すぐに解約してしまうと、ほぼ日割に近い金額が戻りますので、会社がしっかりと、従業員が、定期の解約をしていないかなどの確認・調査をする必要も出てくると考えますので、管理が煩雑となります。

【不正受給】のご相談例と対処方法

○会社には、最寄駅から自宅までバスを利用としてバス代申請をしていたが、実際は、自電車やバイクを利用していた。
○会社には、自宅最寄駅から会社の最寄駅まで、電車利用として定期代を申請していたが、実際は、マイカーで通勤していた。
上記の2点は、よくあるご相談です。

この場合、会社の規則で実費を支給といっている場合、実際にはバスを電車利用せずに費用がかかっていないなら、バス代・電車代を支給する必要はありません。すでに支給してしまったものは、民法703条の不当利得の返還義務により、返還させることができます。そして民法167条債権等の消滅時効により、時効は10年ですので会社は10年前までさかのぼって返還させることができます。また、このような【不正受給】は、会社の就業規則で懲戒処分をすることも出来ません。一般的な就業規則のひな形や、当事務所の作成している就業規則も懲戒の規定に「故意または重大な過失によって会社に損害を与えた者は懲戒処分することができる」と規程があります。徒歩や自転車、バイク、自動車で通勤していながら、会社にはバスや電車通勤と申請してバス代・電車代を受給することは、故意に会社に損害を与えることになりますから、就業規則の規定に従って懲戒処分できます。しかし、就業規則に懲戒処分の規定がない場合は、懲戒処分は不可能となりますのでご注意ください。

【労災について】

上記、【不正受給】の相談事例の場合に、万が一、通勤災害が発生した場合、通勤災害の対象になるか否か?
自宅から会社までの通勤経路で事故にあってケガ等をした場合、労働者災害補償保険が適用されます。具体的には、医療費は無料で(健康保険の3割負担はなし)さらにケガがもとで会社を休んだ場合、4日目から休業給付が支給されます。この労災が適用されるのは、会社に届け出ている方法でなくても問題はありません。労働者災害補償保険の通勤の定義は、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間の往復を、合理的な経路及び方法により行うこと」と規程されていますので、会社に最寄駅までバスで通勤と申請し、実際は、自転車を利用しようが、この自転車の利用が、非合理的とは認められないからです。

【民事上の賠償の会社リスク】

私は、損害保険会社出身のため、クライアントさんとお話をする際、バスを利用すると会社に申請し、実際には、自転車利用。電車を利用すると会社に申請し、実際は自動車、このようなケースは、【不正受給】だけの問題ではおさまらず、第三者いる場合に、その第三者に誰が、民事上の賠償義務を負うかです。通常は、【不正受給】をした従業員となりますが、その従業員が第三者の賠償請求に対し、支払う能力がない場合は、会社側に請求が来る可能性があります。それは、会社側には使用者責任があるからです。従業員の【不正受給】だけでなく、会社側にも経営を揺るがす大きなリスクがあることを忘れてはいけません。
予防する方法として、自転車・バイク・自動車としっかりと損害保険に加入させることも必要です。加入させるには、会社は、通勤費とは別問題として、リスク管理教育を従業員に行う必要もあるでしょう。また、会社の方で、団体の保険に加入することも大切でしょう。

ここまで当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

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