ブログ(お役立ち情報)

2018.01.17

求人内容と労働条件相違の訴訟

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

採用担当者は、求人の際、どうしても、採用を急ぎたい場合、応募数を増やすために、求人内容を曖昧としたり、実際の労働条件より、内容をよく見せかけたりしようする心理が働くかもしれません。
しかし、求人内容と実際の労働条件が異なると、会社側と従業員がトラブルとなり、会社側にとって大きな不利益を招く恐れがあります。

職業安定法は労働条件の明示を企業に義務付けており、企業が自社サイトなどで直接募集して採用する際には、虚偽情報に対する罰則(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)があります。しかし、ハローワークなどに虚偽の求人を出しても、是正を求める行政指導はできるものの、現在は、罰則がない状況ですが、昨年から労政審で具体案をさらに協議してるようです。

昨年の実際の判例をご紹介します。


【京都地裁判決 平成29年3月30日判決】

 
○概要 
当時64歳だったBさんは、定年がない点に魅力を感じ、A福祉施設に応募。
A福祉施設のハローワークの求人票には、「雇用形態:正社員」、「雇用期間:期間の定めなし」、「定年制なし」と記載されていました。面接時には,定年制についてはまだ決められておらず、労働契約期間について特にやりとりはありませんでした。しかし、採用後の面談でA福祉施設の代表者はBさんに「定年あり:満65歳」と記載した労働条件通知書を提示し、口頭でも大まかな内容を説明しました。 
翌年、A福祉施設は雇用契約を更新せずBさんを定年扱いとしましたが、これを不服に思ったBさんは“求人に記載されている通りの定年のない雇用契約”を主張し、訴訟を起こしました。 

○判決 
裁判所は、「求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情のない限り、雇用契約の内容となると解するのが相当である」とし、Bさんの署名押印のある労働条件通知書に記載された内容ではなく、求人票に記載された内容での雇用契約の成立を認めました。
その結果、本契約は期間の定めのない労働契約であり、解雇は無効とされました。 

この判決ですと、労働者の同意の有無は、「労働条件通知書」や「労働契約書」の署名押印の有無ではなく、労働者の自由な意思に基づく同意の有無について判断しており、実務の参考になるので、紹介させていただきます。


ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.01.14

吸収合併の際の労働保険・雇用保険・社会保険の手続きについて

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

最近、株式交換などにより、独立した会社が、他の会社の100%子会社になるケースが増えてきています。
単純に100%子会社になるような場合は、原則、株主が変更となるだけで、労働保険・雇用保険・社会保険の変更手続きは不要となります。

しかし、吸収合併の場合は、手続きが労働保険・雇用保険・社会保険について異なってきますので、注意が必要となりますので、ご案内します。 

1.社会保険について

健康保険や厚生年金につきましては、廃止会社が「適用事業所全喪届」を提出します。さらに従業員(被保険者)全員の被保険者証を添えて「資格喪失届」を提出します。

(その他必要書類)
(1)解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー(破産手続廃止又は終結の記載がある閉鎖登記簿謄本のコピーでも可)
または、「雇用保険適用事業所廃止届」(事業主控)のコピーのいずれか

(2)上記の書類が添付できない場合は、以下の書類のいずれかが必要となります。
①給与支払事務所等の廃止届のコピー
②合併、解散、休業等異動事項の記載がある法人税、消費税異動届のコピー
③休業等の確認ができる情報誌、新聞等のコピー
④その他、「健康保険・厚生年金適用事業所」に該当しなくなったことを確認できる書類

上記と並行し、存続会社は、消滅会社の従業員(被保険者)全員の資格取得届の提出が必要です。あわせて、被扶養者がいる場合は、被扶養者異動届の提出も必要となります。

2.雇用保険について

雇用保険は社会保険と異なり、原則として被保険者の消滅会社と存続会社を同一事業主とする認定手続きを行います。
この方法は、従業員(被保険者)の「雇用保険被保険者資格取得・喪失」の手続きではなく、被保険者期間が同一事業主として通算されるので、消滅会社に勤務していた期間についても存続会社の勤務期間とすることができ、従業員(被保険者)に不利益を与えなくて済みます。

(同一事業主の認定手続きをする場合の必要書類)
(1)新旧事業実態証明書
(2)添付書類
合併契約書、合併元と合併先双方の登記簿謄本、株主総会議事録、従業員承継の覚書、雇用保険被保険者の名簿などの
複数の書類が必要です。また、各ハローワークによって独自の用紙での申請を求められたり、提出書類が異なる場合も
ありますので、事前に管轄のハローワークへご確認ください。

3.労働保険手続について

消滅会社と存続会社の労災保険上の「事業の種類」が同じ場合と異なる場合で手続きが異なります。


【事業の種類が同一の場合】

原則として、消滅会社の労働保険を廃止し、存続会社の労働保険を適用することになります。手続きとしては、
①消滅会社の「労働保険確定保険料申告書」を管轄の監督署に提出し確定保険料を納付することで消滅会社の労働保険の適
用事業を廃止します。(還付の場合は、還付請求書を提出)
②存続会社の手続きとしては、合併日以降に見込まれる消滅会社の概算保険料の計上が必要となります。
※年度の合併後賃金総額の概算見込額が既に申告した吸収前概算賃金総額と比べて2倍を超え増加、かつその合併後賃金総額による概算保険料の額が合併前に申告済み概算保険料よりも13万円以上増加する場合に増加概算保険料の申告・納付が必要です。


※消滅会社の事業所も合併後も事業継続する場合は、労働保険の継続事業の一括に関する手続きが必要となります。合併前、消滅会社の方で継続事業の一括がされていない事業所については、存続会社はこの事業所を管轄する労基署に「労働保険関係成立届」を提出し、提出後の新たな労働保険番号で、「継続事業一括認可・追加申請書」を労基署へ提出し、継続事業の一括を行います。合併前、消滅会社にて継続事業の一括がすでに行われていた場合には 存続会社は「継続被一括事業名称・所在地変更届」を労基署に提出し、消滅会社の本社・支店等各事業所の継続事業の一括を行います。

【事業の種類が異なる場合】

消滅会社の労働保険の適用事業は廃止することなく継続されます。なお、合併による会社名、住所、事業主等の変更に伴い、「労働保険名称所在地等変更届」の提出が必要となります。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2018.01.10

振替休日と代休の相違点

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表 社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。


クライアントさんの就業規則の見直し業務を請け負う際に、振替休日と代休と双方記載があるケースがあります。
クライアントさんご自身が混同されている場合が多いので、以下に相違点をご案内させていただきます。

○振替休日とは

休日の日を出勤する代わりに、出勤日だった日をあらかじめ休日に指定することをいいます。ここでのポイントは、事前予告です。したがいまして、休日労働とはならず、仮に法定休日の日曜日に出勤したとしても、その日は、既に他の労働日に振り替えられているため休日出勤にならないため、休日労働に対する割増賃金の支払義務もありません。

○代休とは

休日労働後、その代償として特定の出勤日を休日にすることになりますので、前もって休日を振り替えたことになりません。したがいまして、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。法定休日の場合は35%、法定外休日の場合は、25%の割増賃金が支払われます。単純計算ですが、135%や125%ではありません。

(根拠)休日出勤8時間の場合
休日出勤日=時給×135%×8時間⇒休日出勤のため追加
代休日 =時給×100%×8時間⇒休みのため控除
    35%の割増賃金が発生  

一般的には、休日と出勤日の入れ替えは、急な仕事量の対応するケースが多く、振替休日多いです。
振替自体の有効性については、【休日と定められた日が絶対的に労働から解放されたものかどうかについては、労働契約の内容いかんによるもの】と解されています。つまり【就業規則に、振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨】を設ければ、違法性となりません。ただし、振替休日とするには、あらかじめ振替日を特定する必要があります。また、振替の一番のポイントは、【4週4日の休日を確保】しなくてはいけません。

また、振替休日であっても、週を越えて、1週間の労働時間が週40時間を超える場合は、超過した時間数の賃金の支払いが必要です。つまり、4週4日を維持し、かつ、1週間の労働時間が40時間を越えなければ、振替休日のみの定めでも問題がないということです。この場合は、繰り返しますが、割増賃金は、発生しません。

つまり、振替休日も代休も両方記載されることも間違いではありませんし、理解された上で一方のみ記載されることも間違いではありません。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

就業規則作成で、重要なポイントですので、ご不明な場合は、お気軽にお問い合わせください。

2018.01.07

平成30年度より給与計算実務の注意点!

東京・渋谷のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士の郡山博之です。

当事務所も年明け早々ですが、月末締めの翌月10日支給のクライアント様が数社ありますので、10日支給に備えて、給与計算業務を行っています。

過去の記事に、年末調整について何度かご案内していますが、平成30年度1月支給の給与計算から昨年までの給与計算と異なる実務が生じる場合があります。

それは、昨年の税制改正で、配偶者控除等の見直しが行われ、平成30年分以後の所得税から適用されることになったことです。

具体例として、社員本人もその配偶者も給与収入を前提にしてご案内します。
大きなポイントとして下記の通りです。

〇社員本人(納税者)の収入制限が設けられ、控除額の変更も103万円が150万円に配偶者に関して新しいグループに分けられました。
つまり、平成30年分より、配偶者控除(所得控除)38万円の対象となる配偶者の給与収入の上限が、103万円(合計所得金額38万円)から150万円(合計所得金額85万円)に引き上げられました。
また、配偶者の収入が150万円を超えても、所得金額に応じて配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除の場合、対象となる配偶者の給与収入の上限は201万円(合計所得金額123万円)となります。
以前の記事で書いていますが、税法上は、控除額の変更が150万円となっていますが、厚生年金や健康保険は、配偶者の年収が130万円以上になりますと、社員本人の扶養に入れなくなります。
〇社員本人(納税者)の収入制限と、控除額の変更
配偶者控除と配偶者特別控除の適用される社員本人(納税者・給与所得者)に収入制限が設けられることになりました。平成29年度までは収入制限がありませんでした。また、扶養者の給与収入が1,220万円(合計所得金額が1,000万円)を超える場合には消失します。昨年と同様の控除を受けるには、1,120万円(合計所得が900万円)以下である必要があります。
〇配偶者に関する新しいグループ分け
社員本人(納税者)と配偶者の給与年収によって控除額が異なります。
 例えば、「源泉控除対象配偶者、かつ同一生計配偶者」のように重なることがあるので、配偶者控除の対象が、3種類になりました。
「源泉控除対象配偶者」⇒新設(平成29年度以前とほぼ同様です)
社員本人(納税者)の給与年収1,120万円以下(合計所得金額900万円以下)
配偶者の給与年収150万円以下(合計所得金額85万円以下)
の場合の配偶者
「同一生計配偶者」⇒新設(配偶者が障害者に該当する場合)
社員本人(納税者)の給与年収制限なし
配偶者の給与年収103万円以下(合計所得金額38万円以下)
の場合の配偶者
「控除対象配偶者」
社員本人(納税者)の給与年収1,220万円以下(合計所得金額1,000万円以下)
配偶者の給与年収が103万円以下(合計所得額38万円以下)
の場合の配偶者
配偶者に関する扶養親族に等にの数え方
配偶者が源泉控除対象者に該当する場合は、扶養親族等の数に1を加えて計算します。さらに同一生計配偶者が障害者に該当する場合は、扶養親族等の株に1を加えて計算します。つまり、毎月の給与から所得税を控除するときに関係があるのは、源泉控除対象配偶者と同一生計配偶者です。また、控除対象配偶者は、年末調整のときに関係し、配偶者控除の対象となります。

平成30年度の給与計算での注意点

社員本人(納税者)給与年収が、明らかに1,220万円を超える場合は、配偶者を扶養親族数から外して、給与計算をしないと、年末調整で、所得税の追加となってしまう場合が多いので注意が必要です。
また、社員本人(納税者)1,120万円超(所得900万円超)~1,220万円以下(所得1,000万円以下)の場合は、平成29年度と同様に扶養親族等の数に1を加えて計算するか否かと、社員に確認する必要があります。これまで通りの計算ですと、年末調整で所得税の追加に転じる可能性が大きいからです。
逆に社員本人(納税者)給与年収が1,120万円以下(900万円以下)であれば、これまでの扶養親族数の設定で問題ありません。
ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

2017.12.27

働く人から選ばれない企業にならないための注意点

 東京・渋谷区のアリスト社労士行政書士事務所の
代表の社会保険労務士・行政書士 郡山博之です。

本年最後の記事更新となります。
当事務所は、12月28日(木)より平成30年1月4日(木)迄、冬季休業とさせていただきます。
休業中もホームページからのお問い合わせは歓迎いたします。1月5日(金)以降、順次ご回答させていただきます。

本題ですが、今般、多くの業種において人で不足は深刻な問題です。そもそも、一昔前と比較し、【終身雇用】に対する労働者の期待は下がっており、転職に対する抵抗感も今後ますます低くなると考えます。私自身も、転職が多い方ですが、面接時や入社後に、「年齢の割に転職が多いですね?」と言われたこともありました。「だからなんですか?」と心では叫んでいましたが、勿論笑ってすませました。
この雇用が流動化する時代に、働く人から選ばれない企業にならないために気をつける点をご案内します。

長時間労働

長時間労働は「選ばれない理由」としての一つです。「働き方改革」「ブラック企業」などの言葉が声高に言われるようになり、長時間労働を是正しない企業スタンスは嫌われてしまいます。採用面接の場でも近年は「残業の有無」「休日」「休暇」などの労働時間に関する確認が応募者からされることが珍しくなくなりました。
長時間労働への対策としては、IT化、不採算部門の見直しがあげられます。

業務の属人化

業務の属人化とは=その人しかわからない仕事がある状態のことを言います。
その人しかわからない仕事があればあるほど、その人(担当者)が辞めてしまうと後任者の対応が大変になり、後任者の業務負荷が増えて疲弊し、退職するという悪循環になってしまう場合が多いです。スタッフが頻繁に辞めないという前提で「業務の共有」を怠っている状態は会社として会社経営として危険です。
属人化を防ぐ方法は、メールの共有、業務チーム担当制、グループウェアの活用などがあげられます。

採用活動の内製

採用サイトや転職サイト、人材紹介、求人誌などの人材サービスのコストは今後ますます高くなることが予想されます。今や多くの企業において人材確保のためにこれらの人材サービスは欠かせなくなってきていますが、雇用が流動化して人々が頻繁に転職してくれた方が人材サービス業にとっては都合がよい側面もあります。人材サービスに頼り続けなければ人が確保できないということは、採用のコスト分、競争力が低下してしまう可能性を否定できません。
採用活動の内製化の方策としては、既存社員からの人材紹介、学校との強化、自社独自の採用イベントなどがあります。

出戻りの許容

最近は、1度退職した社員をもう1度受け入れるという企業の方が人材確保に適しています。退職した理由は、子育て、親の介護、キャリアアップ、年収アップとありますが、出戻りを許す寛大さが必要でないでしょうか。

ここまで、当事務所のブログを読んでいただきありがとうございました。

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